バラシたエンジンを測定して下さい。

 エンジンが破損してしまい、お金がないからという理由で、”プライベーター”とか言う人にエンジンをバラシて貰ったユーザーが、バラシたローターを持って、突然やってきました。(一応、レーシングアートのすぐ近くから、電話がありましたが・・うむを云わさぬ電話でした。)

 「エンジンをバラシたので、見て下さい。」と言うので、あからさまに嫌な顔をして、ごくごく簡単に、”見ました”。「ごく普通の、異常燃焼で、破損しています。」となるべく冷たく答えました。(この時、私はかなりの激高モード=超Gモード?でした。)

 今から考えると、もう少し冷静に、”何故、怒っているのか”を説明すべきだったと’少しだけ’反省しています。
 エンジンのパーツを点検するのは、非常に大変な作業です。ダイヤルゲージやマイクロメーター、ルーペなどを使用して、細かく点検、測定
(測定回数を多く取って)していきます。そうやって、やっと答えが出ます。(答えが出ないことも多い。)「ちょっと見て。」というのはありえません。

 レーシングアートで、エンジンオーバーホールの作業を行なった場合には、細かく点検していきます。特に、何らかの問題が発生して、エンジンを点検する時には、述べ氓O時間以上掛けて点検することさえあります。
 また、エンジンを降ろす時にも、細かく点検していきます。オイルで汚れている箇所や、熱の掛かり具合をハーネスの皮膜の状態などで判断していきます。そうでなければ、そのクルマの次に起きるトラブルは判断出来ないと考えているからです。
(どうせ、次のトラブルも私が修理することになるでしょうから??)

 時々、ユーザーに話すことがあるのですが、「あるショップで作業したら、その件に関しては、最後まで、そのショップに責任を負わせなさい。」と。一度取り掛かった作業は、その作業が完結するまでは、そのショップが責任を持つべきだというのが、私の持論です。
 ただし、そのショップに、愛想を尽かした時は別ですが・・
 そして、その時、他のショップに前のショップのトラブルを持ち込んだら、かなりの費用を請求されても当たり前の話しです。

 アメリカの航空機事故の調査を行なう時、手に入った全てのパーツを使用して、元の航空機を組み立て、原因を追求するのだそうです。空中で爆発炎上し、墜落し、バラバラになったパーツから、原因を探り当てるのだというのをNHKスペシャルか何かで見て、「すごいな!」と感心したのは私だけでしょうか?通常、そんなパーツからは何も解らないというのが、常識かもしれません。
 しかし、今まで、「ノッキングで壊れたエンジンのパーツを調べても何も解らない!完全に壊れる前に、バラさないと。」と言われていましたが、実は一つ一つのパーツをじっくり観察すると、いろいろなことが見えてきます。

 カッコ良く言うと、パーツとじっくり対話するとでも言いましょうか??

興味のある方は、精度を出すの基本