バキュームホース新データ(0-200m)

 MTさんという50万台FD3Sのユーザーがやってきました。ノーマルのままです。レーシングアートのホームページをみて、バキュームホース対策に興味を持ったようです。
 来店し、話を聞いて、対策することに決めました。

 作業を行ない、クルマを渡しました。満足のようでした。

 説明をだらだらするより、データを見て貰いましょう。

条件

0-200m

タイムアップ

対策前

10"54

-

対策後

10"14

0"40

対策+ブーストコントローラー

9"92

0"22

 MTさんのFD3Sは、もう24,000km以上走行していました。(50万台だからまだ新車と、勝手に思い込んでいた私にとっては、ちょっと誤算でしたが・・)サージタンクを外してみると、結構”キテ”ました。バキュームホースは、硬くなったり、膨らんだり、トラブル(ブースト圧の漏れ)は思ったより進行していました。

 特筆すべきは、やはりバキューム対策前後のタイムアップでしょう!
 たかが、バキュームホース!
 たかが、0-200mのデータ!
0-200mのデータでこれだけの差が出るとは当初予想していませんでした。0-400mをちょっとでもやった人なら、理解できると思いますが、0-200mでは、かなりはっきりした’パワー差’がなければ、差が出にくい。

 0-200mのデータを採ろうと思った時、手動計測、全くのノーマルFD3Sという条件では、有意差は認められないだろうと予想していました。しかし、0.1秒でも差が出れば、来店して貰ったユーザーに口頭で、「こんなこともあるよ。」とお話するつもりでした。(説明の補助として・・)

 実は、この結果は当たり前と言えば、当たり前だったのかも知れません。というのは、左図のブースト変化を先に調べたからです。

横軸:エンジン回転
縦軸:ブースト圧

グリーン:バキューム対策前
オレンジ:バキューム対策後
(ピンク:対策前の通常走行)


 ブースト圧の変化をチェックする時には、3速にキープしたままで、1,500rpm付近から、アクセルペダルをペタッと踏んで、6,000rpm以上までエンジンを上昇させます。
 その時の、各エンジン回転でのブースト圧を記録して、上図のようなグラフを作成します。その結果を、解説すると以下のようになります。

対策前:

対策後:

 0-200mも、ブースト圧の変化のデータも、共に良いデータですね〜え。さてさて、作業しようかどうか悩んでいる最近結婚したばかりのNTさん!このデータを見てどう思います?!(思いっきり煽っちゃいます!!)

後日談:
 先日、クルマを引渡す時に、MTさんに「思った以上に下のトルクが上がっていて、良い気になって飛ばすと、足廻りがやや”プア”な状態だから、高速で吹っ飛ぶ可能性があるから、飛ばし過ぎないようにね!」と伝えました。
 実際に、こういうアドバイスは、
わざとらしいと思われるのが嫌であまりしません。(自分が行なった作業が、如何にも良いように思わせる手段ではないかと勘繰られるのが嫌なのです。)
 しかし、もしレーシングアートの帰りに、吹っ飛んでクルマを潰してしまっては
もっと嫌な思いをするだろうし、MTさんは、私の性格をかなり知り尽くしているようですので、そう伝えました。
 1週間位して、私が作業した部分で、「回転部分にホースが触れて、表面が削れている。」というので、再度来店して貰い、対策と交換を行ないました。(作業終了直後の点検では、当たっていなかった部分が少し手前に出てきているのが原因でした。=ガンガンブーストを掛けたでしょう?MTさん!→いやいや冗談です。)当然この作業は、クレームです。
MTさん、すみませんでした。 ところで、この時、「どうでした?」と聞いてみました。MTさんは、真顔で「気を付けるように言われて良かったですよ!良い気になって、本当に吹っ飛ぶところでした。」「かなり、良い感じですね!」と言ってくれました。
 それが、
ヨイショではないことは、そのあとのコメントで推察出来ました。
 「クルマを引取ってから、この周辺を何回もグルグル廻って、帰って自宅の近所でもグルグル走って、
満タンのガソリンを一晩で空にしてしまいました。」「満タンのガソリンを一晩で使い切ったのは、新車を受け取った日以来ですよ!」と嬉しそうに話してくれました。