タービンのコントロールの基本

 この辺のことは、知ってて当然の事で、つまらないと思う人は読む必要もないと思いますが・・

 結構、あやふやな知識(→元々このコーナーはそんな人の為のコーナーですから・・)の人達はきちんと押さえておきましょうね!

 ノーマルタービンのカットモデル図です。

 タービンホイルコンプレッサーホイルをタービンシャフトが繋いでいて、タービンホイルに排気ガスを当てています。

 コンプレッサーホイルは中心軸方向から空気を吸って、周辺部に吹き飛ばすような力が働く事で空気を圧縮出来ます。

 このままでは、ブーストはタービンの限界まで上昇して、タービンも破損してしまうので、排気ガスのコントロールをする必要があります。

 排気ガスをバイパス側に逃がすためのゲートをウエストゲートと呼びます。図では、濃い紫色になっています。

 このウエストゲートが独立しているタイプが、ウエストゲートタイプのタービンと言いますが、今回はノーマルで一般的に採用されているウエストゲート・アクチュエータータイプのタービンの説明をします。(アクチュエーターは、濃いピンクで示しています。)

 アクチュエーターの内部は、次の図のようになっています。

 アクチュエーターにブースト圧が掛かると、内部のスプリングの反発力(=スプリングセット荷重)に負けて、シャフトが飛び出してきます。(→FD3Sのセット荷重は、約0.55キロです。)

 アクチュエーターのシャフトが飛び出して来ると、ウエストゲートが開きます。タービンを回転させる排気ガスがバイパスに逃げる事でブーストが下がります。

 ブーストが下がると、アクチュエーター内部のスプリングの反発力が勝ってシャフトは縮みます。ウエストゲートが閉まります。排気ガスは再び勢い良くタービンホイルを回すので、ブーストが上がります。

 この行程を繰り返す事で結果的に、ブーストはアクチュエーターのセット荷重一定にコントロールされます。

 因に、この方式だけで(=アクチュエーター単独)ブーストをコントロールしているクルマは、現在では殆どありません。(ロータリーエンジン搭載車で言うと、マイナーチェンジ前のFC3Sまででした。)
 主な理由は、ブースト圧がアクチュエーターのみにコントロールされる為に、アクチュエーターの製品誤差でクルマ自体のブーストが異なり、クルマによるバラツキが大きくなってしまうためです。
 そのため、今ではこのアクチュエーターをコントロールする為のデューティ・ソレノイド・バルブを使用しています。・・これについては、次のページを見てください。