クラッチ対策

 『クラッチ対策』も重要です。

 走行条件にも因りますが、3万キロ以上走行していれば、大分ノーマルのクラッチディスクは滑っています。(走行条件が厳しければ、1万キロ位から目立って滑ります。)

 クラッチの滑り方は、例えば、それまでのアスベストタイプのディスクの滑り方とは全く異なります。
 ディスクが減ってきて限界に達すると、トルク変化が一番大きいセカンダリータービンの立ち上り付近で”シュー!”と滑り、加速せずにエンジン回転だけが上がってしまうのが、今までの滑り方です。

 しかし、現在のノーマルディスクでは、新車時から少しずつ滑っているのです。それも、全域で”スー、ズルッ、スーズルッ・・と滑ります。
 この滑り方は、ずっとFDに乗っている人にはまず解らないと思います。きちんと滑らないクラッチにしたことが無ければ、まず解りません。

 気が付くとしたら、朝一番は、きちんとした感じだったクラッチの操作が、少しすると繋がるペダル位置が微妙に変化してきます。
 特に渋滞などに引っ掛かったり、ギャーとフル加速した後に顕著にその”不安定さ”がはっきりと現われてくるのです。

 もうその時は、かなりのパフォーマンスを捨てているはずです。

 しかし、そのまま走行し続けても、突然、坂道を登らなくなるようなトラブルにはなることは稀です。
 クラッチ交換作業を依頼すると決まって「クラッチディスクは減っていませんでした。」とサービスマンに言われます。

 もちろん捨てているのは、加速性能ですが、私が一番大切だと力説(?)している”運転の気持ち良さ”も沢山捨てているのですよ。

 早くそのことに、気付いて欲しいと思っているのですが、大体の人はかなり滑ってきて、「最近加速が鈍いように感じるのですが・・・」となってから『クラッチ交換』を考えるパターンなので、もう少しだけ早めに作業してください。

 ここまで、やれば当分気持ち良く走ることができます。逆に言うとここまでは最低限必要なことかもしれません・・

 なお、レーシングアートでは、クラッチディスクを”適切な硬さのメタルディスクに交換します。カバーやフライホイルはノーマルです。(滑りが大きくならない早めの交換なら、ディスクとベアリングのみの交換ですみます。)

 ノーマルのカバーの圧着力は充分なものできちんとしたメタルディスクのみで充分な性能が得られます。(500馬力前後まで)
 また、このメタルディスクは、慣らしを”普通に”行なえば、まるでノーマルのような性能を発揮します。
 辛い思いをしたり、1万キロ毎に新品交換したり、キーという金属音に悩まされることもありません。(慣らし中に音がすることもありますが、ほとんど消えていきます。)

 どうです?素敵な(?)クラッチでしょう?