ロータリーオーナー(FD3S,FC3S)の10箇条?(10を超えても??)

 初めてロータリーエンジンに乗り始めた人を対象に、是非知って欲しいことを箇条書きにしてみました。(親切そうに見えますが、実は、いちいち説明するのが面倒臭いと言うのが本当のところだったりします・・)
 なお、かなり断定的な言い方になってなっていますが、命令でも押付けでもありません。ちょっと気を付けることで、変なトラブルにも巻き込まれることなく、いつまでも気持ち良く乗り続けるためのアドバイス(=優しい親心?)と考えてください。(実際に、15万キロ以上特に大きいトラブルもなく、楽しく、ブン回して過ごしたユーザーが多く居ます。)

1.プラグはまめに交換しましょう。
 よく2万キロ大丈夫とか言っている人を見掛けますが、全く無理です!
 レーシングアートのユーザーには、4,000km位での交換を薦めています。
 実際には、走るだけで良いのであれば結構走りますが、テールからパンパン言うようになったら、既に失火し始めている証拠です。
 ※プラグの状態を見るのが、一番確かな方法ですが、ロータリーエンジンのプラグの状態を正確に判断できるにはかなりの経験が必要です。(私の場合には、正確に判断するのに2年近く掛かりました。毎日、じっくり観察してのことです。)
 ※ちなみに、きつね色だと番手が低過ぎます。(ちなみに推奨プラグは、R6725#11.5です。)
 ※古いプラグを使用していて一番恐いのが、エンジンを破損する場合があることです。(実際に、この理由でエンジンを破損した人を何人か知っています。)たかが、プラグでエンジンを破損するのは、本当に勿体無い!と思います。

2.エンジンオイルは、厳選の上にも厳選を!
 一番良くないのが、レベルランプが着いてから、おもむろにオイル交換をするパターンです。オイル量が半分近くになるとエアを吸って、油膜切れの危険があります。
 次に良くないのが、高価なオイルを使用しているから、大丈夫だと思っている人。高価であっても、明らかにロータリーエンジンに合わないオイルがあります。合わないという理由の一番は、ロータリーエンジンのオイルが非常に高温になることです。あえてここでは名前は挙げませんが、皆さんが結構使用しているオイルだったりします。
 一つの判断材料として、1,000km以下の走行距離で、もしも油圧が下がったら、即、別のメーカーにしましょう。粘度を保てなくなって、油膜切れの危険があります。
 ※油膜切れを起こすとローターやステーショナリーギアにあるメタルが、ダメになります。しかし、一般ユーザーには、これ位では何の変化も感じません。しかし、確実にパフォーマンスはダウンします。(回転が鈍くなったり、最大パワーがダウンしたり・・)
 ※油膜切れは、メタルだけでなく、サイドハウジングや、ローターハウジングを痛めます。=パワーダウンに繋がります。

3.オーバーヒートに注意。
 ボンネットの裏に張り付いている防音材を観察してみてください。白いシミが周辺にありませんか?
 防音材を指で突ついてみてください。柔らかくなってスポンジのように凹んでしまうところはありませんか?(新品やトラブルを発生していない防音材は全体にしっかりと硬さが均一です。)もしそうなら、オーバーヒートが発生しています。とりあえず、水温計を付けてみましょう。多分110℃とかを超えているはずです。
 出来れば、大容量ラジエターに交換してください。
 最近では、ロータリーエンジン搭載車に限らず、オーバーヒート気味の車輌が増えていますが、熱の発生量はやはりロータリーエンジンがダントツです。

 ※出来れば、容量アップ程度のラジエターは避けて、大容量ラジエターにしてください。ノーマルで大幅に不足している為、少しばかりの容量アップでは、『焼け石に水』状態で、お金の無駄になりかねません。
 ※大容量アルミラジエターの中に、トラブルを発生し易い物があります。注意してください。

4.「マフラーを交換したら、フルチューン?」と考えましょう。
 多少大袈裟かもしれませんが、大袈裟な表現をする理由は、車検対応マフラーだけ装着して、ノーマルだと勘違いしているユーザーがあまりに多過ぎる為に、注意を喚起するする意味があります。
 車検対応マフラーの装着によって、燃料カットが発生する危険性があります。これが厄介なことに、単純な燃料カットではなく、幾つかの条件が重なった時に発生するので、「俺のクルマは大丈夫。」と思っている内にエンジンのコンプレッションは、どんどん下がっていきます。
 ※コンプレッションは圧縮圧力のことで、ロータリーエンジン専用のコンプレッションテスターを使用して、6室全ての圧縮圧力を測定します。6室全てが8キロ以上あり、6室差が1キロ以上なければ、一応合格です。
(ちなみに、レーシングアートのブリッジポートエンジンで、10.3キロ出たことがありました。=少し自慢?)
 ※コンプレッション測定は、出来れば定期的に行なってください。コンプレッションの変化をみると、エンジンの傷み具合が推測できます。急激に落ちるようであれば、何か異常が発生している可能性があります。

5.ロータリーターボ(SA22C、FC3S、FD3S)のチューニングには、基本的に燃料増量が必要だと考えてください。
 非常に限られた仕様及び、条件のみで、『燃料はそのまま』で良い場合があると考えてください。
 あくまで、基本は何らかの方法で”燃料を増量する。”ことです。

6.FC3Sでは、スロットルポジションセンサーが、破損し易いので注意!
 3ヶ月〜1年くらいで交換してください。
 もちろん、本体をきちんと点検して破損していれば、新品交換です。交換の方法にもコツがあります。単純な新品交換では、なんにもなりません。
 スロットルポジションセンサーが故障した時の代表的な症状は、ハーフスロットルで、いきなりクルマが前後にガクガクして進まなくなり、アクセルを少し戻すか、少し踏み込むと何事もなかったかのように走行でき、その後症状は現われなくなるが、忘れた頃にまた発生して、その後だんだん発生頻度が高くなっていく。です。
 その他にも、アイドリングしにくくなるとか、エアコンをかけるとエンジンが止まるなどの症状もあります。
 ひどくなると、最悪でエンジン破損に繋がることもあります。

7.FD3Sは、燃料ポンプが前後G横Gでずれてしまうことがあります。
 サーキット走行などをする場合には、対策が必要です。

8.ガソリンに2ストロークオイルを添加します。
 サーキット走行などの時には、ガソリンに150:1〜100:1くらいの割合で添加してください。
 特に、FD3Sは必ず行なってください。
 ロータリーエンジンでは、燃焼室内にエンジンオイルを噴射して、各シールの潤滑を行なっていますが、FD3Sの方がより少ないので、注意してください。
 また、エンジンパワーが充分高い場合にも、必要になります。

 ※ただし、エンジン不調でパワーの出ていないエンジンには逆効果で、カブり易くなるだけでなんのメリットもありません。
 ※使用する2ストロークオイルもどれでも言い訳ではありません。入れるとエンジンをダメにするものまであります。要注意!

9.ガソリンは、出来るだけ満タンの状態で。
 横G、前後Gの掛かる走り方の時には、必ず、満タンに近い状態で使用してください。
 エアを吸って、一時的に燃料不足になることで、エンジンを破損させることがあります。

10.高圧側のフューエルフィルターは、最低でも2年に一回は交換してください。
 特に、ガソリンを最後まで使用するパターンの給油を行なう人は、1年に一回でも早過ぎることはありません。

目次へ戻る

レーシングアート