1,000分の一改めて。

 わざわざ・・石川県金沢市から雪の中を御来店頂いたNG(=no goodではありませんよ!)さんは、NC旋盤を製作している会社にお勤めの一年生だそうです。

 作業をしながら、いろんな話をしていて、1,000分の一の話になりました。

 上司から、「測れる、測れないじゃなくて、測るんだよ!」と言われているそうです。
 また、NGさんの職場には、熟練の人で定盤を手で磨いて仕上げている人や、1,000分の一の単位でへこましたり、盛り上げたりできる人が”ウヨウヨ”居るとの話を聞きました。

 そうなんです。私が言っている事はこの事なんです。
 世の中の常識では手での測定で1,000分の一は理論的に測れない事になっています。しかし、技術者にとってはそんな事はどうでも良い事です。測るしかないのです。いろんな工夫をして、努力して・・結果的に測れれば良いのです。
 測定器が無ければ測れません!とか、メーカーの特殊工具が無ければできません!とか、言っている技術者はその上を知らないだけの事です。

 世界にはもっと凄い人達がゴロゴロ居ます。私はその内の何人かを知っているだけの事です。見た目冴えないハゲた小太りのオヤジが実は世界で数人しか持たない特殊技能を持っていて、本人はそれを自慢するでもなく、当たり前としか思っていない。(→赤ら顔の白人で昼間っからビールを飲んでいて、凄〜く陽気なオヤジでした。
 そんなヤツラは世界中にゴロゴロ居るのです。その事を知らずに自分を自慢している技術者はただの”井の中の蛙”です。

 周りにチヤホヤされて、狭い世界で威張っていても仕方がないのです。世界を見ましょうよ!もっともっと刺激的ですよ!

 しかし、その経験をしなければ、理解出来ないのは仕方がないのかもしれません。自分の目で凄いヤツラを見た時に変わります。
 私も、そんなヤツラを見て、その度に凹んだものです。そして、少し天狗になっていた自分に気が付き、改めて、努力しなきゃな!と良い気になっていた自分を叱咤激励するのです。

 そういう意味では、今の若いエンジニアは気の毒かもしれません。周りにそんな人達が少なくなって来て、凹まされる機会が少なくなってきている。
 そして、世の中は、途中経過は考慮されず、はじき出される結果のみを重要視される。
 更に、知識のみを偏重する時代になってきている。
 例えば、今の若いエンジニアにとっては、コンピュータが出すデータは全て正しいと思っている人も大勢いますが、そのプログラムを作成した人のミスの確率を考慮してない場合が多い。(→もちろん、作成者の技量も・・)

 大幅に横道にずれますが・・ウイルスが蔓延するのは、極論を言えば、プログラムを作成している人達のミスです。完璧なプログラムを作成すれば、防げるはずです。しかし、コスト面、利便性の面で手を抜いているのです。(→作成している人達の苦労も解っているつもりですが・・)

 しかし、その状況は仕方がないのであって、そこに文句を言っても始まらない。
 全てを正しく判断する能力を持てば良いだけの事です。それは、簡単な事です。時々自分自身で確認(作業)をすれば良いのです。本当に合っているのか?と。

 自分が井の中の蛙にならないように常に努力して、目の前の上の人を目標にするのではなく、世界を視野に入れて上を上を目指していけば良いだけの事です。
 それは、今日、今の瞬間からできる事です。やれないと言うのはただの言い訳です。どうのこうの言ってないで、やるしかないのです。

 

・・・しかし・・・
 NGさんと話をしていて、反省した面もありました。
 最近私は、『世界中に私より優れた技術者は少なくとも1万人はいる。それを頑張って努力して、5,000人・・1,000人・・100人・・10人にして行けば良いのだ!』と話していましたが・・・

 ごめんなさい。少なくとも・・少なくとも10万人は居そうです。
 もっと、もっと努力をしなければ・・・と少し凹んだ私です。