良いエンジンオイルにすると・・・
オイルの重要性は何度も繰り返し述べてきましたが・・・
今回は少し視点を変えて述べる事にしましょう。
随分昔に、当時バブル絶頂の頃、20才そこそこのユーザーがFCの最高グレードを購入し、即考えられる全てのパーツを装着して、総額850〜1,000万円の支払いになったと言う事がありました。これらのユーザーは、グループで4人いました。(→ホントにバブリーな人達でした。)
このグループは、ハッキリ言ってクルマの事は、何も知らないといって良い程の人達でした。
「ウエストゲートの音が・・・」と言って来るので詳しく話しを聞いてみると、ブローオフの音をウエストゲートの音だと思っているくらいのレベルでした。
その人達がよく「アペックスシールの音がしますよね!」と話していて、こちらは説明する気力さえ失ったことを思い出します。
聞こえるはずなんかない!と。それが”常識”です。
しかし、最近になって、私自身の考えがちょっと変わって来ました。
最近新たにレーシングアートに仲間入りした人達は、非常に素直(?)で私のお薦めメニューをこなしてくれます。エンジンオイルを交換すると、その人達のエンジンから、次々に異音が消えていきます。
私の感覚もどんどん益々鋭くなって来ている事もあると思いますが、どうやら、サイドシールの音と多分アペックスシールの音が聞こえるようになってきました。
まず、プラグ交換をして静かになるのは、それまでプラグがきちんと点火できなくなっているせいで、常に、生ガスが垂れ流しになり、タービン付近、触媒付近で『ボボッボッ!ボボッボッ!』とアフターファイヤーを起こして、音がしているのが、消えるのが原因です。(→これは作業した全てのユーザーが体感しています。)
その次がオイルです。これも全てのユーザーが体感しています。皆一様に「エンジンが静かになった!」と喜んでくれます。
オイルがダメになっていれば、いろんな異音が出て来る事は今まで当然解っていたはずなのですが、”その異音が何の音なのか?”が知りたくなってきました。
そして、何台ものクルマを作業していく内に、『どう考えても、サイドシールと、多分(→こちらはあまり確実でない?)、アペックスシールの”擦れる”音だ!』という結論に達したのです。
実は、その自信を深めた事件(?)がありました。
最近時々話題に登ってくるTHさんのERC33のオイル交換を行なった時のことです。
33もプラグが全くダメ(→ハイパフォーマンス・レシプロエンジンでは、プラグの寿命は約1万キロと考えてください。)で、おまけにイグナイターコイルセットが一個ダメになっていたせいもあって、『ボボッボッ!ボボッボッ!』ととてもうるさかった。先にプラグを交換したのですが、排気音は予想通り、もの凄く静かになりました。
次にエンジンオイルです。「6気筒エンジンなのに何でこんなに振動が大きく、エンジンからいろんな音がするのだろう??」ととても不思議に思っていたのですが・・・
なんとエンジンオイル交換後エンジンを始動すると、まず始動直後は交換前に比較してかなり小さくなっているものの、基本的な異音は残っていました。
そして、その異音は、1〜3分もしない内にどんどん小さくなり最後は完全に消えてしまいました。
本人曰く、「何もしないのに、クルマが動く?」って(?)感じなのだそうです。(→自分でクラッチ、ギアチェンジ操作をしているのにね!)
それくらい、静かってことです。
それで、考えました。「消えていった異音は何だったのか?」と・・・レシプロエンジンではオイルが充分行き渡っていれば、本来は、異音がする事はないはずです。
しかし、ロータリーエンジンでは、充分な潤滑が得られない部分が存在します。そして、その部分は本来どうしても金属同士が触れ合うことで、常にすり減っていっているのです。
今まで、擦れ合って減っていくのは仕方がないと考えていましたが、どうやら、物凄く”素晴らしい(?)”潤滑性を持つエンジンオイルでは、擦れ合う音を消してしまうようです。
私が、このオイルを採用するまで本当に大変な思いをしました。皆さんは、結果しか知らないから、「へぇ〜!良いんだ〜!」ぐらいの事でしょうが、ゼロから探す方は本当に大変なのです。
でも、その苦労が報われたようです。
レーシングアートで採用したオイルは、自信を持って皆さんにお薦め出来るオイルです。
”こだわった”甲斐がありました!!