ギアオイル交換

 ギアオイル交換の内、通常のクルマではデフオイルについては殆ど変化を感じる事は出来ません。もちろん、劣化したオイルはデフ自体にダメージを与えますが、ここでは、主にミッションオイル交換に付いて記載する事にします。
 なお、ギアオイルは必ず同時交換です。変化が解らないからと言って、メンテを疎かにすると・・必ず、痛い目に遭います!

質問:
ギアオイル交換をレーシングアートの指定オイルで行ないましたが、あまり効果を体感出来ませんでした。何故でしょう?(=自分で或いは、他のショップやディーラーで交換作業を行なった場合です。)

また・・別の質問として・・
交換してかなりシフトチェンジが全体に軽くなりましたが、2速に入らない時があります。何故でしょう?因みに、完全に暖まると問題ありません。

回答:
1.
指定オイル?って、“76MPギアルーブLS 80W90”で間違いありませんか?76ギアオイルも数種類あります。
→もう一度、確認してください。

2.これが一番重要ですが・・オイルを抜く時に充分冷やして(=40度前後)から行ないましたか?
 また、オイルの滴が充分に落ちてしまうまで待ってから、ドレンを締めましたか?この作業が不十分であれば、オイル交換作業自体を否定する事にもなりかねません。(=通常、量販店やディーラーですらこの充分な時間を取っていません。しかし、それは当たり前の事です。商売でやっていて、オイル交換の本当の重要性を理解していなければ、そんな長い時間は無駄です。・・オイル交換をきちんと行なうなら必ず自分で行いましょう!)
→「
ポタポタ」から、「ポタ・・・ポタ・・・」まで出てくるオイルの量はせいぜい300cc前後です。しかし、この差は重要です!
実は、レーシングアート以外で作業した時に一番考えられる原因はこのことによります。本当に重要な部分です。

3.何回目の交換になりますか?
 既に現在までに、かなり悪い(?)オイルを長時間使用している場合は、交換一回だけでは充分な変化が現れない場合もあります。
 レーシングアートで経験した、今までで一番悪い状況では、5〜6回交換してもまだ違和感を感じる場合がありました。
違和感とは・・
 非常に寒い朝(=前日から湿度が低く、0度に近い冷え込みを記録した早い朝など)始動後一回目の1速、2速でシフトがかなり渋いが、動き出してその後2回目からはスムーズに入る。現象を除きます。
 この現象は、80W90の硬めのオイルのせいで“
仕方のないレベルの現象”と考えています。
この“正常な違和感”以外の違和感を感じる時は、既に半壊までのトラブルか?交換作業の手抜きによる場合が殆どです。ただし、半壊なのかどうかには、手抜きのない交換作業を数回行なってみて、その後のかなり長い観察時間が必要です。

4.交換タイミングについて述べると・・
 交換のタイミングは非常に難しいものです。目安として
少しでも変化を認めれば、即、交換です。他の事にも言えますが、自分が何か変化を感じた時、既に機械は大きなトラブルが始まっていると考えてください。
 自分自身が、“
何らかの変化”を感じる事が重要です。
→因みに、レーシングアートの完璧なクルマであれば、10,000キロまで問題は発生しないはずです。(→ただし、かなり敏感なオーナーは6,000〜7,000キロで「そろそろ・・」と言い始めますが、その時点でもミッション内部では何の異常も発生していないと考えています。もちろん、感じたら交換をお薦めします。)
 それ以前に使用していたオイルがかなりひどければ、一回目は1,000キロ、2回目は3,000キロ、3回目は4,000キロ、4〜5回目は6,000キロで交換してください。
 そして・・それでも違和感が消えなければ、残念ながら・・以前の使用オイルのせいで既にミッションは
半壊している可能性が高く、将来的に新品交換を考えてください。なお、交換する前にスポーツ走行は絶対に禁止です。一発でミッション破損、自走不可になる可能性すらあります。
交換時期になったと判断する“正常な違和感”とは、それまでスムーズにシフトチェンジが出来たのに、徐々に重みや渋みを感じ、それが走行距離が伸びるにつれ、大きくなっていく事を言います。主に2速がやや強く感じますが、その他のギアでも同様の渋みが全体に出ます。通常、まず初めに気付きやすいのは、1速です。

5.オイルの量は、適正ですか?
 駆動系やマフラーなどの温度が高過ぎる場合には、正確に給油出来ません。また、通常の車種では、給油口から溢れる時が適正量になりますが、車種によっては、給油速度が速過ぎると適正に達していないのに溢れ出してくる事もあります。例えば、ECR33のミッションなどは給油速度が少しでも速いと大幅に狂ってしまいます。給油速度も時間が掛かる場合もあります。
 なお、ギアオイル交換で、レーシングアートで採用しているオイルバケットポンプは、
YAMADA製です。理由は押し出し量が常に安定していて正確だからです。
 給油回数の微妙な変化で、ミッションやデフ内部の汚損程度などを判断出来ます。この給油回数が変(?)な場合は、次回の交換距離を早めにして貰う事になります。
 もし、オイルの量が不足していると、確実にギア内部にキズを付けていると考えてください。それ程、重要です!
 更に、少しでもダメオイルを使用していて、なおかつ、オイル量が不足した場合には、例え、レーシングアートが丈夫である!と考えている車種のミッションでも破損の危険性が高くなります。


今まで、あまり大きくないトラブルを抱えているクルマで、ギアオイルを76MPギアルーブLS 80W90に交換して「変化が解りませんでした!」と言うユーザーは存在しません!
 実際、私の判断では『
まだまだこのミッションは次回も早めの交換が必要で、この状態では良くなったとは言えない!』と思っても、オーナーは「シフトがスムーズになって渋さは全くなくなりました!」と言ってきます。
 もし、あなたが変化に気が付かないとすれば・・
A.上に挙げたどれかの項目に問題があります。もう一度、細かく調べてください。
B.全ての項目をパスしているのに、いまいち解らない。と言う場合は、あなたのクルマは既に相当大きなトラブルを抱えていると考えられます。将来的にミッション新品交換の可能性もあります。

交換直後、約50キロ走行までは、ほんの少し渋さが残る場合もあります。50キロ走行後が本当の状態になります。交換時期などの判断は、必ず、50キロ走行後の変化を判断材料にしてください。