エンジンオイル交換
エンジンオイル交換を行なう上で一番大事なのは、実は“オイルの観察”です。気温、湿度、天候やレーシングアートに到着するまでの時間や走行条件などによって、エンジン自体の温度がそれぞれ異なっています。
その温度を観察に必要な適温まで下げることから始まります。よって、到着するとリフトに上げて、暫く冷やします。
この時、最低20分〜2時間待ちますが・・
完璧に近いクルマはせいぜい30分です。長く待たせるクルマは、既に何らかの問題が発生していると考えてください。
トラブルとは、主に水漏れや電気系統です。ひどい場合はオイル交換ですら、預かり作業になる場合すらあり得ます。(=実際、初期点検時に先に連絡して貰っている情報から判断して、初期点検及び初期メンテナンス作業のクルマでも『預かりになります。』と伝える場合があります。言われたユーザーは意味も解らないでしょうが・・)
その日の作業で終わる場合でも、ずっと待たせる時には「トラブルがあるんだとな〜?」と理解してください。
適温になって、作業に入りますが、ここでもポタ・・・ポタ・・・になるのを待ちます。実は、この状態を待つのも理由があります。
まだ、レーシングアートを立ち上げての当初、オイル交換は時間も掛かるし、儲からないし・・??で、なるべく早めにドレンボルトを締めようと考えている事もありました。
ところが・・・作業終了後『うっ・・まずい!手抜き(?)を感じる!』となりました。もちろん、その頃のユーザーには伝えていません??言っても解らないだろうと言うレベルだったからです。しかし、『確実に自分では解る!』そうなると、自分の気持ちが悪くて、それ以降ポタ・・・ポタ・・・を待つようになりました。
今では、完璧なクルマではもっとはっきりと感じるはずです。(=もし、今手抜きをすれば、完璧なクルマのオーナーは必ずクレームを付けてくるだろうと考えています。)
さて、ここで質問例です。
質問:
エンジンオイル交換をレーシングアートの指定オイルで行ないましたが、あまり効果を体感出来ませんでした。何故でしょう?(=自分で或いは、他のショップやディーラーで交換作業を行なった場合です。)
回答:
1.指定オイル?って、“76ガードルQLT15W-40”で間違いありませんか?最近ではイエローハットなどで、76オイルを扱っていますが、実際76オイルには多くの種類があります。ガードルですら数種類あります。
本当に、ガードルでしょうか?もし、5W40などの上位(?)オイルを使用していれば、反っておかしな状況になります。おかしいと言っても他のメーカーのオイルよりは、もちろん、ましですが・・
レーシングアートでガードルを指定しているのはきちんとした理由が存在します。完璧なクルマでなければ、上位オイルは使用出来ないし、そのオイルは一般販売店では入手不可能です。
→もう一度、確認してください。
2.オイル交換時に、オイルエレメントはマツダ純正ですか?
20年近く前にエレメントのサイズが容積で1/5程になりました。その際、もちろん内部の構造を変えているのですが、当時の大きいエレメントより少し容量が落ちています。そのため、純正採用している2メーカー以外では明らかに容量が不足しています。
また、オイル交換時に必ず、エレメントは交換してください。
→因みにオイル交換時エレメントを緩めると、オイルがドベッと漏れ出てくるのは異常です。オイルが悪過ぎるか?温度が高過ぎます。
3.これが一番重要ですが・・オイルを抜く時に充分冷やして(=40度前後)から行ないましたか?
また、オイルの滴が充分に落ちてしまうまで待ってから、ドレンを締めましたか?この作業が不十分であれば、オイル交換作業自体を否定する事にもなりかねません。(=通常、量販店やディーラーですらこの充分な時間を取っていません。しかし、それは当たり前の事です。商売でやっていて、オイル交換の本当の重要性を理解していなければ、そんな長い時間は無駄です。・・オイル交換をきちんと行なうなら必ず自分で行いましょう!)
→「ポタポタ」から、「ポタ・・・ポタ・・・」まで出てくるオイルの量はせいぜい200cc前後です。しかし、この差は重要です!
4.ついでながら、交換タイミングについて述べると・・
交換のタイミングは非常に難しいものです。オイルプレッシャーが付いている(=純正でも構いません。)クルマなら、アイドリング時の油圧に少しでも変化を認めれば、即、交換です。
例え、それが1,000キロ走行以下でも、即、交換です!
他の事にも言えますが、自分が何か変化を感じた時、既に機械は大きなトラブルが始まっていると考えてください。「気のせいかな〜?」とか、「ショップで“異常なし!”と言われたから、まあ良いか〜。」などは、クルマを大切にしている人とは到底言えません。
自分自身が、“何らかの変化”を感じる事が重要です。
→因みに、レーシングアートの完璧なクルマであれば、3,500キロまで問題は発生しないはずです。
更に言うと、オイルレベルゲージを引き抜いて嗅いでみてください。微かにガソリン臭がするのはまだもう少しいけますが、抜いて鼻を近付ける前から強烈にガソリン臭がする時は即座に交換です。
なお、3,000キロ以下の走行で、ガソリン臭がするのは主に大きめの電気トラブルが存在するのが原因です。
実際にオイルにガソリンが少しでも混じるとエンジンオイルは既に潤滑剤の役目をしていません。少しでも臭いがしたら、即座に交換と考えてください。
→76ガードルを指定している最大の理由はここにあります。76ガードルは耐久性を重視したオイルです。少しのガソリンなら充分な潤滑性を保ちます。(=もちろん、これはレーシングアートのデータで、メーカーでは絶対ダメ!と言われています。)更に余計な事を言うと、2スト用ガードルはアメリカ陸軍戦車指定オイルです??自衛隊でも採用している基地もあるようですよ??
5.オイルのレベルは、大丈夫ですか?
他のページで詳しく記載しましたが、レベルゲージのFラインから約7ミリ上方のクビレ部分に合っているかを確認してください。
実はこのレベルをきちんと維持する事はかなり重要です。完璧率60〜90%前後のクルマでは、数ミリ下がっていても異常を感じる筈です。(=逆に99%完璧なら、殆ど変化がありません。)
また、走行1,000〜1,500キロでFラインを切るところまでオイルが減っていきますが・・この時に必ず継ぎ足しを行なってください。
→時々、会員成り立て(?)のユーザーで、継ぎ足しをしないで3,000キロ以上走ってしまう人がいますが・・その場合、確実にエンジン内部にキズを付けていると考えてください。それ程、重要です!
※今まで、あまり大きくないトラブルを抱えているクルマで、エンジンオイルを76ガードルに交換して「変化が解りませんでした!」と言うユーザーは存在しません!
もし、あなたが変化に気が付かないとすれば・・
A.上に上げたどれかの項目に問題があります。もう一度、細かく調べてください。
B.全ての項目をパスしているのに、いまいち解らない。と言う場合は、あなたのクルマは相当大きなトラブルを抱えていると考えられます。既に初期点検や通常作業時に指摘しているトラブルがドンドン悪化している可能性があります。今後の変化に充分注意してください。
とりあえず、ガソリン臭には充分注意を払って観察してください!