新車時、慣らしがもう一度必要になります。
ブロアモーター対策修理及びグリル雨漏れ修理が終わったオーナーは素直にそのトルクの大きさに吃驚するはずです。しかし、驚いてばかりもいられません。実は、新車購入時以来始めて味わうその強大なトルクのせいで、駆動系、特にミッションのギアが悲鳴を上げます。
今まで、新車0kmからレーシングアートでメンテナンスを行なっているクルマでは時々発生していた事が、新たに起きます。それまでの当たり前のトルクでは当たっていなかった部分が当たり始める事で“バリ”が出始めます。新車購入後暫く走行してからレーシングアートでメンテナンスを始めたクルマで既に5回以上ギアオイルの交換を行なっていれば、例え、ギアの入り方が渋くなってきていても、金属片が出てくる事はまずありませんでした。
しかし、ブロアモーター対策後2回目のオイル交換で、その特異的な金属片が出てくるようになります。この特異的な金属片はギアの縁に当たる部分と考えられます。金属を含めてどんなに硬い言われる物でも大きな力が掛かればタワミます。そのタワミ量が対策前と比べようもないくらいに大きくなる事で、今まで決して当たらない部分までタワんで当たります。
その結果、新たにタワんで当たった縁がバリとして出てきます。
初めてその金属片を見た時、『えっ!充分オイル交換を行なっているクルマなのに・・??』と驚きました。何かミスをしたのか?とさえ思いました。ところが、よく考えてみるとどこかで見た事のある破片でした。新車のミッションの慣らしが非常にうまくいったクルマで特異的に出てくる破片でした。それでも、何故??と言う気持ちがありましたが・・
今では、全てのブロアモーター対策後のクルマで発生する現象なので当たり前の事になってきています。
|
繊維の出てこない特殊な軍手で拭き取ったミッションオイルです。 針状の金属片がポロポロとあります。それ以外には針状の破片の折れた物しか見あたりません。通常の初めてレーシングアートでミッションオイル交換を行なったクルマでは、大小の金属片が見つかります。 |
|
金属片を磁石で捕らえてみました。 中心に近い金属片は垂直に立っていて、周辺の金属片は寝ています。 |
ギアの構造の簡易図です。 ギア自体ももちろん金属ですが、金属はかなり硬いと思われる合金であれ、全て強い力が掛かれば、しなるものです。 新車で、1,000キロ、3,000キロ、3,000キロとオイル交換して、その後6,000キロになりますが、2回目の3,000キロで出てくる事が多いバリになります。 |
|
|
トルクが掛からない状態では、ギアの歯自体は何もしならないので、側面が当たっているだけです。 矢印の部分にほんの少しのバリが残っています。しかし、この部分は慣らし後半のある程度トルクを掛けて回転を上げていく時にやっと当たり始める部分です。 |
|
新車で常識的なトルクの場合です。 もちろん、レーシングアートでバキュームホース対策やその他明らかな異常をある程度解決してきたクルマの場合です。ギアの歯自体がしなってギア先端まで当たり始めます。(=巷に溢れるトラブルを抱えたクルマでは、殆ど大きなしなりはなく、上記の特異的な金属片は出て来ない事の方が多いのです。) |
|
ブロアモーター及びグリル雨漏れ対策修理を行なった場合、それまで経験した事のない強大なトルクが発生してしまいます。そのため、今まで当たっていなかった部分まで当たり始めて、その結果、新車の慣らしで発生する“特異的な金属片”が出てきてしまいます。 要は、通常のFDならしならない部分までしなって、その結果バリが出てくると考えた方が自然な解釈と思われます。 |
なお、この特異的な金属片が発生してそのまま走行を続けると、その金属片がギアとギアの間に挟まり、ギアの表面に細かい傷を作っていきます。つまり、ギア自体を傷める事になるので、早めにギアオイル交換を行なってください。目安は、一覧表を参考にしてください。
ただし、その前にギアの入りに“違和感”を感じる筈です。自分で違和感を感じたら、その目安の距離に関係なく、即交換と考えた方が自然です。
また、デフは更に深刻なダメージを受けている筈です。必ず、同時交換と考えてくださいね!