10万台のFD3Sに50万台のエンジンを載せて!

 ホームページを見て、やってきた10万台FD3SのKMさんは、「10万台のFDに50万台のエンジンを載せてください。」とやってきました。

 大変な作業になるのは予測していましたが、比較的に軽い気持ちで引き受けてしまいました・・・

 でも・・やっぱり、大変でした。
 何が大変って、コンピュータとハーネスも50万台で、エミッションコントロール・ハーネスと、フロント・ハーネスを大改造する必要があるからでした。

 ハーネスは、エミッション側が50本、フロント側が34本ありますが、これらのハーネスがまるで、知恵の輪のように複雑に交差しています。
 これらを全て把握する必要があります。そして、ミスなく確実に繋ぎ直す必要があります。
 1本でもミスすると、大変なことになってしまいます。
 配線のチェックに40時間以上掛かっています。
 繋ぐのは、8時間以上掛かります。(KMさんのハーネスは、ズタズタの状態だったので、特に大変でもっと掛かりました。)


 電気系統の重要性は、何度か記載してありますが・・
 今回は、電気配線図のことについて少し述べてみましょう。

 よく整備書や、電気配線図を”絶対の物”と考えている人がいますが、実はそうではないのです。
 私の場合、整備書や電気配線図は、『95%は多分正しいだろうな。』と思って見ています。もちろん、全ての基本はここにしかないので、信じるしか無いのですが、絶対に、”信じ過ぎて”はいけません!!

 というのは、ミスプリントがあること、今回の例でいうと、4AEのはずが1AEとなっていました。(→すぐに解れば、大きな問題にはなりません。)
 もっと困るのは、ハーネスを1本1本にまで、バラバラにして全てを追い掛けていって、どこへ繋がるか確認する必要があることです。
 今回の作業でも、電気配線図にはどこにも書いていないのに、全然予想外の部分に繋がっていて、『え〜っ!!』と一人で驚いてしまった箇所が2箇所ありました。

 話は少し脱線しますが、よく、皆さんがやる方法で、後付けメーターの照明をシガーライター部から引いていますが、これもよくありません。予想外の線に繋がっているので、変なトラブルが発生します。FC3Sでは、時計が消えたり、何かの拍子に、1:00にリセットされます。
 FD3Sでは、もっと複雑な変なトラブルが発生します。

 だから、配線処理は充分な知識と経験が必要なのです。

 今回の特殊(=スペシャル)作業は、”もう今後は勘弁してくれ!”と言う物でしたが、「また、誰か困って持ち込むのだろう。」と、やや諦めています。

 でも、きちんとした作業を行なわないと、車輌火災が発生するので注意してください。

 

 この際、正直に告白しますが・・
 実は、50万台のハーネスは40万台の物と全く同じだと決めつけて、作業してしまったことで、KMさんに御迷惑をお掛けしました。
 50万台と40万台は、配線の色まで同じなのに(!)数カ所異なります。

 たまたま、重要なトラブルにはなりませんでしたが、”ひやっ!”とした瞬間でした。

 『全く、何でこんなに細かく変更するの!』とぶつぶつ言いながら、作業をやり直した私でした。

 自分自身も含めて、
 
『整備書や、電気配線図や、配線の色などを信じ過ぎてはいけません!!

 皆さんも自分でやる人は、充分注意して慎重に行ないましょう!!