エンジンオイル交換作業上の注意

1.まず、充分な暖気です。
 出来れば
10分位近くを走って来てください。特に寒い時期は必要です。

2.リフトアップ後、エンジンを冷まします
 気温やエンジンルームの熱さで判断しますが、
20〜40分冷まします。オイルパンにエンジンオイルが充分戻って来るまで待ちます。

3.ドレンプラグを観察します。六角の頭がナメていないか?、アルミワッシャーが潰れていないか?、充分締めてあるのにオイルが漏れていないか?などを観察します。
 ついでに、エンジン廻りからの漏れも確認してください。他の所で交換した場合に良く有るのがオイルエレメント部からオイルが溢れたのに拭き取っていないパターンです。オイルパンが全体に汚れていたり、プラグ近くを通っているエンジンハーネスがオイルだらけと言うことがあります。(
ハーネス内部に浸透すると電気系のトラブルを産む可能性があります。やり難くても時間を掛けて拭きあげてください。
 オイルパンのシールから漏れていることもあります。ある時期の新車や怪しいショップでのオーバーホールが原因で起きることがあります。
 さらに、エンジンとミッションの繋ぎ目から漏れがある場合には、エンジンのリアハウジングに付いているデカイオイルシールから漏れていることもあります。もし、疑わしい場合には、ミッション下側のカバーを外して点検します。(→このチェックをする為のにもエレメント部からのオイル漏れは、必ず拭き取る必要があります。)

4.ドレンプラグを緩めます。緩める時、妙に硬いようならオイルに既に細かい鉄粉が混ざっている可能性があり、メタルやその他ザクザクに傷だらけと言うことが想像されます。スムーズに外れることが最低条件です。

5.外したドレンプラグは、アルミワッシャーを確認してください。必要以上に潰れていたり、内側が盛り上がって外側が薄くなっているようなら、オイル交換で今まで利用していたお店は、トルクの掛け方を基本的に解っていないお店です。(今後の事を考えるとそんなお店では作業しない方が無難です。)

6.溢れ出て来るオイルを観察します。まず、出始めの勢いが強過ぎず、弱過ぎず。飛び散る場合には特に注意が必要です。粘度を失っています。

7.1〜2分でオイルの流れは急に細くなります。
 細くなり始めたら、反対側から比較的に
強い光を当てて観察します。透き通っているのが最低条件です。この時、光を通さない位真っ黒だったり、キラキラ光る物が見えるようなら、そのオイルはダメオイルです。(→因に、76ガードルオイルは、真っ黒になることは殆ど無く、逆に75ガードルで真っ黒ならエンジン側に問題が有る可能性が高く、すぐに点検が必要です。

8.速ければ5分で、普通なら7〜8分で細い筋は、殆ど糸状になります。この時光を当てても透き通らなければ、その使用オイルは絶望的(?)です。

9.糸状になって、すぐにポタポタ・・・となります。それが長い時間糸を引くオイルはダメです。特に表示粘度が低いのにこの症状が起きるようなら、即座に使用停止!

10.ポタポタとなって、どんなに遅くても約5分出て来なくなります。もし、ずっとポタポタしてるようならダメオイルです。
 また、ポタポタしている時に細かい鉄粉が見えるようなら、これも
絶望的な状況です。ダメオイルは最後になって鉄粉が出て来るものです。

11.オイルをきちんと拭き取って、ドレンプラグを締め付けます。この時スムーズに入らない場合には注意が必要です。鉄粉が出るようなダメオイルなら、そっとそっと手で挿入します。

12.エレメントを外します
外して、オイルが溢れ出て来る場合は、その使用オイルには要注意です。また、オイルエレメントを社外品に交換している場合も発生しますが・・そのエレメントも使用禁止(!)です。
 純正エレメントのサイズが小さくなってからは、毎回オイル交換時に新品交換が必要です。また、経験上純正エレメントより性能の良いエレメントは見たことがありません。純正エレメントを使用してください。(純正より高価で性能ダウンのエレメントを使用している人は・・・誰?結構多い筈です。)
 良質なオイルの場合には、溢れ出ることはまずありませんが、もし溢れたらきちんと拭き取ります。非常に重要です!!


13.オイルエレメントを装着します。パッキン部分にオイルを塗ってから装着します。トルクは素手で回して目一杯です。(ただし、腕っぷしに自信のある人は少し手加減してください。)

14.オイルフィラーキャップを外します
 フィラーキャップの裏をチェックします。白いブヨブヨが付いていたら、悪いエンジン添加剤を使用していたせいです。そのような添加剤は絶対(!)禁止エンジン内部に大量に発生しています。)です。また、添加剤を使用していないのに発生している場合には、そのエンジンオイルに大量の添加剤が入っていることが考えられます。えてして、そのようなエンジンオイルは表示性能をごまかす為に入れてある場合が多いので、基本性能が悪いオイルと考えた方が多分”当たり”です。
 更にキャップの奥を白い布で拭き取ります。良質なオイルは比較的綺麗な茶色がほんの少し付く程度です。それが、真っ黒や、汚い茶色や黄色、それに大量に取れるようなら、即座に使用停止です。

15.やっと、オイルを挿入します。FD3Sは結構早めに注ぎ込んでも溢れることはあまりありませんが、FC3Sではパイプが途中で90度に曲がっているせいでゆっくりゆっくり注ぎ込まないと溢れ出てきます。少し注意です。
 オイルの量はFD3Sでは正確に4.1Lです。多くても少なくても何らかの問題が発生している可能性があります。

 もちろん、皆さんが行なう時には、レベルゲージを確認しながら行なってください。Fのラインを超えてくびれた部分の上端まで入れます。なお、確認はレベルゲージの裏表を何度も確認し、濡れていない部分までがオイルレベルです。挿入途中に付いているオイルがレベルゲージに付いて勘違いすることがあります。慎重に!!

16.各部の取付けを確認して、エンジンを始動します。ドレンからの漏れ、エレメント底部からのオイル漏れを確認し、漏れが無いことを確認してエンジンを止めて終了です。

ここに挙げた作業方法及び判断は、レーシングアート独自の方法や判断です。これが全てでは無いことは解っていると思いますが・・念のため!
なお、『ここまでやって結果を出しているんだよ!』という話しは、本当です!??

おまけ:エンジンオイルの判断でもう一つ重要なことがあります。それは、スロットルを汚損させないオイルであることです。現時点では、はっきりした充分なデータは有りませんが、昨年からメーカーで採用している純正オイルを使用することでスロット内部、特にバタフライバルブ接触面にスラッジとカーボンが大量に溜まり、アイドル不調を招きます。心配な人は点検して見てください。(→それでも高価で危険なオイルよりは”まし”ですよ!)なお、過去にe社のオイルを使用していたFD3Sでバタフライバルブが固着してしまったトラブルがあり、即座にそのオイルは使用禁止にしました。純正オイルは、それよりはましな物ですが・・・=あまりフォローになっていないか?