クーリングウォーターにエアが入ると!

 「エア抜きが必要だよ!」とか、「水をちゃんと補充してね!」と話しても”いまいち”理解出来ていないような気がしてなりません。

 そこで、今回はクーリングウォーター内にエアが入る具体的なメカニズムそこから引き起こされる事象について述べてみましょう!

 まず、エアが入る理由から・・
1.ラジエター交換など、クーリング系の作業を行なって、暫くの間はどうしてもエンジンやラジエター内にエアが残ってしまい、エア抜きを何度かやる必要があります。
2.水の補充方法がまずく、逆にエアが入ってしまう場合。(→サブタンクの水が不足している。)
3.ダメラジエターを入れたり、オートマ用サーモスタットカバーを使用して後付けセンサーを取付けたり、ウォーターレベルセンサーが破損していたり・・の場合。

 これらの理由で、一度エアが入ります。

 エアが入ってそれからどうなるのか?は以下の通りです。

左図では、エンジン内に小さなエア(=泡)が入ってしまいました。

エンジンが暖まり、エアが大きく膨張して水をどんどん吹き出させます。

エンジンを止めて一晩経って、エンジンが充分冷えると、リザーバータンクの水を吸って、エンジン、ラジエター側に移動しますが、水の量が減ってしまっているせいで、初めより多くのエアが入ってしまいます。

その次にエンジンが熱くなると、エアは更に多くの水を吐き出させます。左図ではエンジン内のエアが回って行って、ラジエター内にまでエアが入ってしまったことを示しています。

エンジンがまた冷えると、エアがラジエターにもエンジンにも入り込んで、かなり水不足の状態に陥ってきます。
ここまで来ると、『ビーー!!』とかなり大きなアラームが鳴り響きます。しかし、この状態で慌ててラジエターキャップを開けてはいけません!必ず、充分冷えてから開けましょう!もし、開けてしまうと熱湯(この時100度以上あります!)を全身にかぶってしまうことになってしまいますよ!要注意!!

 そこで、レーシングアート流正しい水の補充方法です。

 

 しつこいようですが・・必ずエンジンが充分冷えてから行なってください。

 ここで、追加説明をしましょう。
 「何故、リザーバータンクに溢れるまで水を入れるのか?」多分疑問を感じたはずです。その理由は、下の絵を見ながら説明します。

リザーバータンクの途中にが開いています。
上の方法を取った場合、ここまで補充した事になります。

エンジンが充分熱くなると、水が膨張して不必要な水がリザーバータンクの穴から漏れ出してきます。
→多分、2〜3日は出て来ます。出て来たら、3の周辺を水で洗い流してください。

エンジンが充分冷えると、サブタンク内の水の量はちょうど良好な量になっています。
これが、適量です。

適量になっていれば、エンジンが熱くなっても、漏れ出す事もないし、一番懸念されるエアが入り込むこともありません

これをレーシングアートでは、エンジンによるクーリングウォーターの”自動調整(?)”と呼んでいます???

 補充方法と補充方法の意味が解って頂けましたか?

 そうそう、「クーラントの臭いを嗅いだ事がありません。」という”幸せな”人が居ましたが・・そんな人に・・
 クーラント液を少し、1のラジエターキャップの近くに溢してみましょう。エンジンを掛けて、すぐにあの独特の臭いを嗅ぐ事が出来ます。一度嗅いでみれば、二度と忘れないはずですよ!