コンプレッション測定、数値の怪??

 皆さんには、にわかには信じられないだろう事が発生しました。

 ・・・
 トラブル前兆としては、冬に○●○(=某ショップ名)さんにて
 コンプレッションを測定して頂いたところ
 フロント側
7K台(購入時9K台)、リア側9K台でした。
 コメントによると
 高回転を酷使したための
エキセントリックシャフトのブレ
 原因だとおもいますとのことで、
 「そろそろオーバーホールを考えてください」
 とのことでした。
 金銭的な負荷がちょうど一段落した時だけに、
 またウン十万もかかるのぉ〜とちょっと凹んでいます。
 ・・・

と言うメールが、ある日レーシングアートに届きました。
その人の仕様を見ると、確かにエンジンを壊しても仕方のない仕様になっていました。

 しかし、私はすぐに『絶対変だ!!』と確信しました。と言うのは・・
1.もし、本当にコンプレッションの前後ローター差が2キロも差があれば、例え初めてのメールであっても、「私のクルマはこんな風に調子が悪いんです!」と切々と訴えて来るはずなのです。
2.もし、その某ショップの言うように、”高回転を酷使”したのが、原因であれば、このオーナーは、レブの警告音(=ピ〜ー!!)を無視しまくりの図太い神経の持ち主となります。
実際のレブリミッターは8,000rpmで掛かります。”ピー”はその前に発生します。それもエンジン回転が鋭い時は、5,300rpmから鳴り始める事さえあり、それを無視し続けるには、本当にかなり図太い神経が必要です。
 因にこのオーナーはそんな筈の無い人です。
3.いきなり、オーバーホールを薦めるのも変です。
本当の原因がどこにあるのかを充分話し合って、もしオーバーホールをするにあたっても、今後2度とエンジンを破損させない為の”ポイント”をオーナーに理解して貰う事が重要です。
 そうでなければ、再度、このオーナーはエンジンを破損させてしまう事でしょう!そして、今後何度も何度も繰り返します。

 ところが、吃驚するのは、これからです。
レーシングアートで再測定した数値が、以下の数値です。
F 9.2/9.0/9.2 269rpm
R 9.5/9.4/9.3 270rpm 64,548km
(=当然、このままのエンジンでオッケーです。→でも、ダメなチューニング方法はすぐにやめて、正しい方法に改めるまでは、飛ばさない事です。)
 実は、こんな結果が出るのは、既に予想済みでした。それは、1.2.の理由です。
 大体、エンジンが破損している場合、先に「なんか、調子が悪いんですよ〜。」「エンジンが掛かり難いし、よくエンストするし、プラグがカブるし、アイドルでエンジンが振動するし・・・」と相談して来て、コンプレッションを測定すると『破損してますね。』って事になるのです。

 まさか、誠実で有名な某ショップで、デタラメな数値を言って、壊れていないエンジンをオーバーホールさせるなどという”あくどい商売を行なっている筈はないと思いたいのですが・・
 もし、そうでなく、単純にメカニックの測定方法のミス(?)だとしても、結局、壊れていないエンジンを高いお金を取って、オーバーホールするとなれば、そのオーナーにとっては、”詐偽”と同じ事です。

 本当に驚きの某ショップ!名前を明かせないのが残念です!・・?

 でも、このオーナーは無駄なお金を出す必要もなく、今後は楽しいクルマ人生を送れる訳で、めでたし!めでたし!と・・・

 そこで、エンジンオーバーホールなどと言う重大な作業を行なう前に、気を付けるべきポイントをまとめておきましょう!
1.コンプレッション測定は、最低2箇所のショップで測定しましょう!
2.数字のマジックに騙されないようにしましょう!=例え、印字されたコンプレッションの数値でも測定方法が間違っていれば、何にもなりません。
3.測定に際しては他の項目でも述べましたが、全ての条件を一定に保って測定しなければ、データとして信用出来ないと言う事を思い出してください。
4.これは、あってはならない事ですが・・例え、測定時にすぐそばで見ていたとしても、故意に数値を低くする事も出来ます。=測定用アダプターのネジを少し緩めれば簡単です。これは、手品より楽な方法です。

 残念な事に・・・「絶対に、騙されないぞ!」と言う意気込みは必要です。
はなから、騙そうとするショップすらあるのです。騙さないぞ!と言う意気込みが相手に伝われば、さすがにそんなに簡単には・・でも甘いかな?

 返す返すも・・・重要なのは、自分のクルマを守るのは自分しかいないと言う事です。

・・・今回は、少し悲しい気持ちになる嫌〜な話しでしたが、これが現実です。・・・