サーモスタットOリング接触面

 FD3Sでは、この部分が最も大きな弱点と言えます。軽い水漏れでもここまでいっている可能性はかなり高いと考えてください。
※ユーノスコスモもこの部分が最も弱いと考えてください。ただ、更に面倒なのは約2倍の面積があり、形状も複雑です。しかし、やるしかありません。

非常に珍しい例です。

通常、このようにはっきりした痕が見える事は非常に希です。
矢印が漏れている箇所です。
サーモスタットカバー〜ウォーターポンプ本体の間にサーモスタットがあります。

漏れの箇所です。

白く流れているように見える痕が冷却水が漏れて、クーラントが白く残って見える部分です。
ほんの少しですが、確実に漏れているの解ります。

 本来、この部分では、紙状のガスケットを使用しているのが一般的でしたが、アスベストが使用出来なくなったための対応策と考えられます。と言うのは、ユーノスコスモやランエボ7でも同様の構造になっているからです。
 ただし、ランエボ7では、かなり充分な容積のラバーガスケットを使用しているため、その容量であれば少々のオーバーヒートでもラバーガスケットを押し出す水漏れは発生しないと考えています。
 ところが、FD3Sやユーノスコスモでは、非常に容積が小さいため、新車で全くいじっていない、水関係が100%正常なクルマ(=つまり異常な水漏れが全くないクルマ)以外は、多かれ少なかれこの部分から漏れが発生します。
 一番多い例は、LLCを車検時に全交換してその後のエア抜きが完璧な状態でないクルマ、次に多いのは出来の悪い(?)後付けラジエターを取り付けてしまったクルマ(=この場合、取付もいい加減だったりする二重苦だったりすると、ウォーターポンプ本体もダメージを受けている可能性が非常に高くなります。)、後付け水温センサーの取付部から水漏れを起こしているクルマ、ラジエターキャップにかなり大きめなキズを付けてしまったクルマ・・・などです。
 しかし、何も問題を起こしていないクルマであれば、この部分が単独に漏れる事はないと考えてください。あくまで、ここが漏れ始めるのは、他に大きな原因となる箇所が必ずあると思ってください。(=逆説的に言えば、こ
の部分だけ直しても意味がないと言う事です。

 赤い部分がラバーガスケットです。このラバーガスケットとアルミ溝が接する2本の線で水圧を止めている事になります。
他のページで面研が必要と言っているのは、この2つの“”+アルミ接触の“”で漏れを防ぐ必要があると言う事を伝えたかったのですが・・あまり意味が解っていなかったようですね。
 わざと(?)解り難くしておいたと言うのが本音ですが・・
 異常な水圧にはラバーガスケットだけでは止められないと言う事になります。

 この弱点を発見した当初、レーシングアートの要求を満足させるシートガスケットは見つかりませんでした。しかし、現在ではこの条件を満足させるシートガスケットが見つかり、それを手作業でカットして“スペシャルガスケット”などと呼んでます。(=ちょっと良いでしょ??
 このシートガスケットは非常に重要で、レーシングアートの作業に必須のアイテム(?)になってしまいました。
 当然の事ながら、自分でこの対策をするのなら、現在レーシングアートで90%まで落としている面研の完成度を100%にする事が必要です。100%とは例えて言うなら、鏡ほどの完璧さ、吸い付くくらいの滑らかさでしょうか?

 実際の作業を例に説明を進めていきましょう!
 今回のサンプル車輌は、エンジンは、50万台の殆ど新品に近い状態から、約2年です。
 何もしなければ、ここまでひどい状況になるはずもありませんが・・・後付け水温センサーの取付口にオートマ用サーモカバーを流用し、更に、レーシングアートのデータで必ず漏れがある(?)メーカーのアルミラジエターを取付けていました。

サーモカバーを外した状態のウォーターポンプ側の画像です。:
 矢印の部分で水漏れが発生し、放射状に漏れた痕がはっきり残っています。少し黒ずんだり、白っぽい斑点があったりしていますが、指で触ればその部分がざらついている事がすぐに解るはずです。
 ざらつき=浮き上がって隙間が出来ている。と言う事です。
 因みに、白っぽい斑点は例えば後付けセンサーの周りによく見られます。ブシュッ・・ブシュッ・・と飛び散っていてそこで熱で乾燥して、LLCの粉が残る、更にアルミが腐食して・・結果的に白っぽい斑点が残る事になります。
 つまり、漏れの痕とはこの状態が多く、一般的に言われる“
白いスジ”が残る状態はもっと水漏れが悪化して、だらだら、ドンドン漏れている状態と考えてください。

外したサーモスタットの状況:
 この作業のクルマの一番の原因は、後付けセンサー根本からの漏れでした。
 上に乗せているラバーガスケットは新品です。黒々として少しテカっていますが、外したラバーガスケットは表面だけでなく、ラバー自体もブツブツになっています。(=ゴム自体が劣化していると言う事です。)
 
水漏れのもう一つは、後付けラジエター本体でしたが、後付けセンサー取付部からかなり漏れていたので、冷却水の水圧はあまり上がりません。その事がなければ、逆にアルミラジエターからの漏れの悪影響は、ウォーターポンプや、エンジン本体までいきます。反って、助かった!という事になります。→後付けラジエター本体からの漏れの悪影響に付いては、今後、アップしていきましょう!

ウォーターポンプアッパー側のアルミ口です。:
 画像が少し小さいので見難いかもしれませんが、ここまで腐食が進んでいると、既に3ミリはある厚みを突き抜けて、ス(=
非常に微少な穴、トンネル?)が発生しています。それも、10箇所近くもです。
 この部分も、ここまでひどい状況では、ウォーターポンプ本体にも悪影響が出ているはずですが、今回はぎりぎり(?)セーフと言う事にしてあります。
 オーナーの理解力がもう少し高ければ、念のためウォーターポンプの本体の交換まで薦める場合もありますが、今回のオーナーはかなり理解が低いので、無理には薦めていません。(→この辺りも“
精神力(?)”の問題でしょうか?? 

サーモカバー当たり面です。左は作業前、右が後。:
 当然ながら、右側では平らな部分は90%面出しを行なってありますが、更に、重要なのはラバーガスケットの当たり面(=溝)です。LLCが乾燥してもっこり状態になっている部分は、常に高温で、かつ外気に触れている事を物語っています。
 この“
もっこり”を完璧に取って、更に面研状態にしていきます。
 しかし、この部分は作業後でもほんの少し腐食して
えぐれた部分があります。
 もし、SPLガスケットがなければ、このレベルまでくるとウォーターポンプ本体の交換が、必ず必要です。
 下側の部分では、既に黒く変色しています。これはLLCが高熱で焦げた事を意味しています。多分、かなり・・熱かったと思いますよ!
 
この溝の面研は非常に面倒くさい作業になります。私でさえ手を抜きたくなる部分ですが、絶対に手を抜けません!手を抜いたら、必ず悪影響が出ます!!

作業後の状態です。:
 上の4個の画像で、右は作業後と記載しましたが・・実際には更に面研を行なってここまでの状態にしてあります。(=ピカピカでしょ!)
 この車輌では、ギリギリなので・・通常の作業より面研の仕上がりを96%以上に近付けてあります。レーシングアートで
ギリギリでしたよ!と言う時はこのような事を意味しています。理解の深い、慎重な人はこの状態では渡しません。(=先に述べているように今回は非常に希な例です。ギリギリはあまり気持ちの良い物ではありませんよね!お互いに・・・)

 たまたま、どちらかと言うと悪い例になってしまいましたが・・
 この作業後のオーナーのコメントは:
A.低速から高回転まで全域で、トルクが上がった!(=上がってのではなく、正常に戻っただけですが・・)

B.エンジンの始動性が良くなった!
 意味が解らないとも言っていましたが・・水漏れ対策後の全てのオーナーが体験しています。これも今後明らかにしていきますが、簡単に言うと、温間始動時と冷間始動時で始動のパターンが異なることに起因すると考えています。

C.エンジンの音、排気音の状態まで変わった!
 このオーナーがここまでのコメントを言ったかどうか?は、覚えていませんが・・・
 殆どのオーナーはここまで理解出来ます。とにかく・・・エンジンの
雰囲気自体が完璧に変わります。
→大体のオーナーは、この結果を体験すると途端に、ゆったりした気分に変化するようです。それまで、危険な箇所を数多く指摘されて、ずっと不安な精神状態に陥ってしまっているのですが・・この結果を体験すると、感覚的に「
この先、ドンドン良くなっていくんだなあ〜!」と漠然とした確信(?)のような物を得るようです。

 一番重要なのは、この“漠然とした確信”だと考えています。これを得るには、電気であったり、水漏れであったり・・人それぞれで少し異なりますが、この確信を得ると途端に、安息(?)が得られます。
 「
先が少し見えてきたような気がする。」「残ったダメ箇所を直せば、良いんだな〜!」って自然に思えるようになってきます。

・・・少なくとも、ここまでは強靱な“精神力”を必要とすると考えています。・・・
 私は、なかなか先が見えないで苦しんでいる会員を見ながら心の中で、『
頑張れ〜!』とエールを送っています。しかし、その苦しみから抜け出すには自分が理解を深めていくしかありません。その状態を抜け出せるのは、自分の力しか通用しないのです。私には何の力も貸す事は出来ないのです。

・・・頑張れ〜!!・・・(=まだまだ、多くの会員がこの状態にはまり込んだままです。抜け出すのにはまだまだ時間もお金も掛かります。耐えられなくなったら、言ってください。・・・でも、その答えは『そうですか?残念です!』『この先の作業はやらないでおきましょうね!』となってしまうのが、オチ(?)でしょうか??やっぱり・・悪魔??)