見えない物を見る。→見えない物を見えるようにする。

 私が結果を重視して行なっている作業は、普通のメカニックから見ると「何だ?そりゃ!」と言う事が多分多いはずです。
 しかし、『
結果が良ければ、それが正しい方法である!』と言うある種の信念(?)から、周りから何と言われようがあまり気になりません。

 しかし・・ただの“偏屈な職人”と言われたくもないし・・一応、目指しているのは、技術者であり、研究者です。
 そうなると、どうしてもみんなに見えない物を、誰でもが見えるようにしなくてはいけません。しかし、それは難しいので、『
ずっと後でいいや!』って割り切っていました。
 ところが、ある瞬間、ふと見えて来た事がありました。例えば・・『
空気も、水も、電気も・・流れる物と言う事では、共通の要素があるのではないか?』『空気に粘性があるように、水はもちろん、電気にさえ粘性があるかもしれない?』と。
電気に粘性があるなんて、周りの人には言わない方が良いと思います。多分、頭がおかしいと思われます??

 見えるようにする!って事は案外簡単だったりするのに気が付きました。

フルード交換:
 他のページで記載したように、レーシングアートでは信じられないような
フルード量時間を費やします。それは、結果を重視して追いつめて行った結果なのですが・・・
 実際には、出てくるフルードの状態(
粒々の量、色、粘性・・)や、音(エアがどこかに入っているとキューって物凄く小さな音が出ます。)、振動(エア抜きが順調に進んでくると、キャリパーの動きが変化します。ペダルを踏んだ時、『おおっ!!』と感動するくらいハッキリ動き始めます。)などで判断していました。
 そして、『
完璧だ!』と判断して、その後10〜15回、念のためにエア抜きをしていました。これは、私の性格による行為でした。『何だか心配だから・・・』と言うものです。
 しかし、最近
発光ダイオードを使用したライトを使用するようになって、唸ってしまいました。(=それまでは、通常の作業灯を使用して、出てくるフルードの色、泡の有無などを確認していたのですが、何度も行ったり来たりするので軽さを重視して採用しました。)
※写真では3個LEDですが、チンダル現象をハッキリさせるには1個の方が良いと思います。

 
チンダル現象って覚えていますか?確か中学校の理科で出てきたと思いますが・・簡単に言うと、暗い部屋で隙間から入ってくる明るい太陽光の道筋だけのホコリがハッキリ見えると言う現象です。
 色は、もうとっくに新フルードに換わっているのに・・
7回目くらいまでキラキラッと金属粉が見えるのです。殆どの車輌は、8回まででそのキラキラも消えていきます。『おっ!自分では知らない内に、完璧の完璧状態に持って行っていたのか〜!』って事になりました。因みに、このキラキラッは蛍光灯などに透かしても何も見えません。

 これを生かせば、あなたにも完璧なエア抜きが行える筈です。それにあなたが絶大な信用を置いているショップで本当に完璧にエア抜きが行えているのかどうかも簡単に判断出来ます。
 エア抜き最後の
2〜3回分のフルードを分けて貰えばそれだけで・・ハッキリします。(→もちろん、作業者にとってそんなリクエストは面倒くさいだけの事ですから、そのリクエストを聞いてくれるかどうかは、謎です?)
 エア抜き作業に絶大な自信を持っているメカニックなら何も怖がる事はありませんよね!(→
ふふふっ・・

電気系統のトラブル:
 
まだまだ、電磁波マップ作成までは時間が掛かりそうなので・・中間報告です。実は、ドンドンハッキリとしたデータが揃い始めました。
 簡単に言ってしまえば、本当に正常な車輌では、殆どの部分で電磁波はゼロになっています。例えば、コイルと磁石の塊で、それも常に回転しているオルタネーターやモーターなどは、普通の感覚で考えると、大量の電磁波が出ていて当たり前です。
 ところが、殆ど出て来ません

 でもそれより、興味深いのは・・
接触不良を確実に発見出来ると言う事です。先に述べたように、オルタネーター周りは殆ど出ていませんが、オルタネーター端子を一度外して、元に戻したユーザーの車輌では、考えられない程高い電磁波が検出出来ました。『ここ、触りました?』と言うと、「一度外した事がある・・」と言うので、ため息を付きながら、外して点検すると接触面にすでに不純物の被膜が発生しています。それを見せてもユーザーはちんぷんかんぷん??で・・端子部分をワイヤーで磨いて見せると「あっ!」と絶句!・・「綺麗・・
 しかし、実は本当の驚きはその後でした。走行すると、ゼロブースト以下の1,500rpm付近のトルクが明らかに上昇しているのを本人は確認した時でした。

 更に、電磁波測定により、その接触不良が既にオルタネーターを破損し始めている事まで解りました。(=15万キロもつオルタネーターが、7〜8万キロで破損してしまうことでしょう!)

 電磁波測定は、目に見えるだけでなく、トラブルの大きさを定量的にする事も解りました。まだまだデータ不足ですが、どれくらいの数値までなら、悪影響が出ないのか?どの数値になったら、エンジン破損の危険性が増すのか?・・今後のデータ収集が楽しみです???
 また、ずっと以前に行なった私の電気系統の修理が完璧だった事も
証明出来ました

 そうそう、いつもお馬鹿な(?)作業をしてくるKMさん!先日、『リアストップランプの接続方法がなってないよ!』と指摘しましたが・・指摘して2日後には右側が切れていましたよ!自分で気が付いていますか?左ももうすぐ切れますよ!だって、両方とも出る筈無い電磁波が0.5出ていましたから・・

水の流れ(=クーリング):
 こちらは、まだまだ皆さんに目に見えるようにするには時間が掛かりそうです。私にはだんだん見えてきていますから、もう少しすれば、「
なるほど・・」って方法を考えるとしましょう!
 ひとつだけ言っておくと、エンジンの温度は各部
最適な温度があるって事です。FC3Sの頃、マイナーチェンジ前後で、ローターハウジングのクーリング経路がコロコロ変わって行く時期がありました。今では、もう安定していますが・・
※ローターハウジング:矢印の穴の数が増えたり減ったり、大きさや形が変わったり・・ありとあらゆる変化が短時間に行われました。

 当時の私は、『
なんて!無駄な事をメーカーはやっているのか!』と嘆いたものでした。『そんな小細工さんてしないで、ポートを広げろよ!!』ってな感じでした。でも、当時から「理論的にロータリーエンジンは、吸気温を含めて内燃機の理想的な温度分布を行えるエンジンである。」と言う事は少しだけ理解していたつもりでしたが・・
 理想的な温度分布にする事が出来た事で、現在のエンジン(=ロータリーも含めた全てのエンジン)は昔のエンジンよりパワーが出る!とも言えるのです。

 今では、理論は理論!現実は現実!と解ったような顔をしていた当時の自分を少し恥ずかしく思います。
 きちんとした結果を追求すれば、全てがハッキリしてきます。

 他にも、レーシングアートでは“見えるようにする計画”が進んでいます。でも、見えてから慌てても既に手遅れです。完全会員制なので・・・あしからず・・・

 でも、実際に驚いているのは、この私かもしれません。
 今まで、辛い経験(?)を重ねる事で得ていた
私だけの真実が、みんなに見せられるようになって来た事と、予想以上に早い展開・・・
 見えるようになると、本当に楽しい!!

 でも・・・深刻なのは、このHPを見たエンドユーザーが頼みのショップに「電磁波が出るんですよ!」と泣き付くと・・「そりゃ!出るさ!」の一言で済ませて涼しい顔の結果が見えてくるって事でしょうか??

 一般の皆さんが、真剣に願わなければ、良い時代は決して来ません!自分の努力で引き寄せるしか方法はありません!頑張って頼みのショップを変えさせましょう!!・・??それしか方法は残されていません!