2次エアバルブのカーボン蓄積

 ある意味、バキュームホース対策自体より重要な事をある程度予測出来る部分を含んでいます。

 2次エアバルブは、極々簡単に言うと排気ガスに空気を送り込むバルブの事です。特にロータリーエンジンでは排気ガス規制には無くてはならない物です。
 この部分に蓄積しているカーボンの状態や量を観察する事でエンジンの状態や電気系統のトラブルの大きさを判断する事すら可能です。
新車から装着されているノーマルエンジンでは、カーボンが溜まる事はまずありません。電気系統のトラブルがよっぽどでなければ、リビルトエンジンの出来が良くないと考えた方が良いと思われます。ショップで作製するチューニングエンジンではこの部分のカーボンが信じられない程蓄積して2次エアバルブの形そのままにぎっしり詰まっている事すらあります。その場合は、そのエンジンは諦めてください。悲しいお知らせですが・・その状態のエンジンでは何をやっても無駄です!
電気系統のトラブルはかなり大きい物であり、既に色々な症状が出ている場合にはっきり出ます。通常2次エアバルブに異常があれば、まず電気系統を疑う事になります。

2次エアバルブを外した状態です。

カーボンが蓄積しています。この状態で既にアウト!と考えてください。
因みにこのクルマは50万台で新車から乗っていて、HIDをディーラーで数回取付し直し作業を行なっています。また、セキュリティー装置をかなり安い工賃で取り付けています。

2次エアバルブのバルブ自体を取り除き、その奥を観察します。

ここに堆積する程のカーボンがあります。かなり長い時間電気系統のトラブルが続いていた事が予想されます。
正常な状態は、薄っすら黒くなっているが、アルミの色ははっきりと確認できます。

全く駄目なエンジンと判断する時、ここにはバルブの型が付きます。少し浮き上がってしまっている事すらあります。さすがに、その場合は、オーナーに事実を伝える事を躊躇する事もあります。
ただし、現在では初期点検である程度予測が可能なので、先にその危険性?を知らせて、バキュームホース対策自体や電気系統の修理作業をしない場合もあります。
因みに、この状態のエンジンではコンプレッションが異常に?高いくせにエンジン始動にやや不安があったり、急にカブッたりします。もちろん、パワー、トルクはありません。

バルブ本体の裏側です。

矢印で示しているカーボンの粒々が異常です。その周りの黒ずみの状態も多すぎます。
この車両では、近い将来、フロントハーネスを新品交換する必要があると判断しました。オーナーには、もって1年、激しい使用方法なら半年でイグナイターなどが破損する可能性があると伝えてありました。(→一般のオーナーには理解出来ない・・不思議なそれ以外の可能性はワイパーの間欠が使えなくなるなども起きる事があります。=電気はそのハーネスに何が繋がっているか?が重要なポイントになります。)

10万台のFD3Sの例です。

これ程の蓄積があれば、間違いなくどこかのショップでのリビルトエンジンと考えるのが自然です。
オーナーにも話してありますが、遠い将来、エンジンを完璧に作製し直す必要があると判断しています。ただし、この車両はバキュームホース対策や電気系統の修理などでかなり良い状態までもって行けたので、エンジンが駄目になるまでこのまま乗って貰う事になっています。

 このように、レーシングアートでは、バキュームホース対策自体はさほど重要とは考えていません。それは、きちんとした作業を行なえば、必ず100の結果がついてきます。
逆に、きちんと作業したのに98の結果しか得られない時が問題なのです。その時、次の作業を考えなくてはなりません。一つの作業がゴールではなく、スタートになる事の方が絶対的に多いのです。常に、先を読む必要が要求されます。
 そのためには、これらの観察は必ず必要で、ここを解っていないショップのバキュームホース対策は、結局のところ・・
猿真似でしかなく、かつ大いなる危険を孕んでいる事があります。