事故に依るフロントハーネスのダメージ修理

 交通事故に依るフロントハーネスのダメージを修理するのは、非常に困難な作業になります。
 一般のユーザーにとっては、出来ればそこまで修理しない方が良いのかも知れません。と言うのも下手な修理方法では反って重大な問題を抱える事に成りかねないからです。しかし、そこを修理しないとその後どんな高価なチューニングパーツを付けても本来の期待される結果の40%も達成出来ないのも揺るぎない事実です。(=「何故?俺のクルマは速くならないのか?」と悩む原因の殆どがフロントハーネスのトラブルと言っても言い過ぎではないとさえ考えます。)

 レーシングアートでフロントハーネスの修理を行なうのは、本当にその時点で発生している症状を直したいと考えているかがとても重要なポイントになります。つい2年程前まではお金さえ用意出来れば作業に入っていましたが・・作業の困難さ、注意ポイントの多さ、観察範囲の広さなど作業する度に大変な作業になってきています。
 今回のこの例のクルマも作業に入る前に充分なコンセンサスをとってから作業に入りました。
1.時間的にかなり掛かるのは初めから解っているので時間を急がない事。
2.相手のある交差点での事故で、相手はかなり渋い保険会社のためこちらの請求が通らない事もあり得るし、通ったとしても過失割合が30%以下の場合も考えられ、充分な費用を用意出来る事。
が、最低限の条件としました。
 『それさえ、承諾して貰えれば、新車より良い状態に戻す事を目指す!』と言うとんでもない物でした。(=その会員のお父さんはクルマ関係の仕事をしていて、「事故を起こしフレームまでいったクルマは、二度と新車のようには戻らない!」と知っていて、懇々と諭されたようです。)
 事実、フレームにまでダメージが入った場合、それも元に引っ張り出したとしても鋼板自体の強度もかなり低下します。溶接部もダメージが入るのでパネル同士の接合力も低下します。それ故、元には戻せない。と言うのは、一般的には正解です。
 しかし、この会員の方は、遙々片道350kmを掛けて通常メンテにも来て貰っている人です。新車時に一切走行せずローダーでレーシングアートに持ち込んだ程の熱心な?会員です。
 今回は、特別中の特別の場合でした。(=今後、このような作業を会員成り立ての人に施すことはまずないと考えています。)

 まず、事故の状況です。

 板金修理を先に行ないます。(=知り合いの板金屋さんの中で最も腕が高く、最も信用している人を指名し、更に塗装屋さんも指名しました。→通常、このような要求は相手の会社に非常に失礼な要求です。レーシングアートでも1年に一回できるかどうかの要求です。)
 この作業中、電気系統の詳しい点検を行ないます。この時点では、当初の想像より軽いダメージと考えていました。しかし・・・

 フロントハーネスの新品交換作業です。
 当初の予想を大きく裏切り、ダメージの範囲は広範囲に及んでしました。これは、60万台以降のABSコントローラーの変更が原因と考えられます。よって、60万台のオーナーは決してフロントをつぶすような事故を起こしてはならない!と肝に銘じてください。(=と言っても好きで事故を起こす訳ではないのですが・・・とにかく他のクルマより充分な注意が必要です!!)