フロアパネルの最重要部の厚み

 新車の方が全ての面で中古車より勝っていると勘違いしている人達はかなり多いようです。
 実際、レーシングアートで作業しているオーナーの中にも「
こんな事だったら、最新の新車にしておくべきだった!」と話す人達も居ます。

 しかし、そうとばかりも言っていられません。
 時代と共に有り難くない変更やコストダウンという名の手抜きも数多く発生します。多分、このページで紹介するボディ強度の低下も、人対クルマで人を守るためと言う理由で改良?された事でしょう。
 しかし、それはもっともらしい理由付けであって実際には相当のコストダウンを生む筈の改良の筈です。

10万台のFD3Sでは充分な厚みがあります。
なお、ボディを跳ね石などから守るアンダーコートも充分塗布されていて、その上の塗装も充分な厚みが確保されています。
新車から、既に十年以上が過ぎてもこの部分に錆は発生していません。

50万台FD3Sです。

アンダーコートは殆どありません。(=塗装の厚みが一番悪いのは50万台後半〜60万台初期です。)
この部分は左側です。実は、FD3Sでは錆止めの電解質槽の処理に絶対的な自信を持っていたふしがあります。(=実際、事故を起こしていないFD3Sではここが錆びる事はあり得ません。)そのため、エアコンの排水をこの内部に流している構造になっています。普通なら考えられない方法ですが、当時では絶対錆びない!と考えていたのでしょう・・まさか、後輩?がこのような手抜き錆止めをするとは思っていなかったのでしょう。
しかし、その期待は裏切られ、コストダウンの名の下、処理時間を短縮したと思われるため現在のような錆が発生します。

60万台のFD3Sです。

厚みは更に薄くなってきました。
一概に薄さだけでボディ強度を判断する事は妥当ではありません。実際、カタログでは高張力鋼板の見直しを・・・などと書かれています。
しかし、走行チェックを行なえばある程度の判断はでき、また、板金の職人に聞いてもその強度低下は明らかな物です。
アンダーコートは50万台に比べて、少しだけ復活していますが、錆びは発生しています。

※この記事を見て、「だからマツダ車は駄目なんだ!」と狭い見識でお嘆きのあなた!あなたのクルマは多分説明する気も起きない位ひどい状況の筈です。
実は、60万台のFD3Sですら、同時期に販売されていた他のメーカーのどのクルマより強固に造られています。国産で一番、安全なクルマなのは間違いありません。
特に、T社の中で低価格大衆車、H社の殆どの車種では、FD3Sの半分から5分の1以下の強度しかないクルマもあります。
しかし、そんなあなたは本当の怖さを知る必要はありません。知らない方がずっと幸せな筈ですから・・・
(=レーシングアートでは、必要以上に“怖さ”を誇張する事はありません。真実を知らないのは本人の責任です。知ろうと思えば幾らでも情報は得られる時代です。知らないのはあなたの責任ですから・・)