電気系統の修理が何故、クルマを速くするのか?・・一考察

1.エンジン制御の邪魔をしない!
 電気的ノイズが制御系統に入り込む事でエラーが発生し、それを解消することに時間が掛かる。或いは、遅い制御に固定される。
A.一つは、信号線に傷を付けてしまうことで、そこがアンテナの役目をして、周りの正常な低レベルのノイズを拾ってしまう。

エレクトリカルタップで傷付けた配線の内部:

通常、画の配線では10本の細い銅線が入っています。この画では、無事だったのは僅かに1本、完全に切れていたのは7本、残りの1本は辛うじて繋がっていましたが、軽く引っ張ると簡単に切れてしまいました。かなり慎重な作業でエレクトリカルタップを取り付けてもこんな状態です。

今回の話とずれてしまいました。横に向いている線の先端は潰れて引きちぎられた状態です。これらの線の先端から、ノイズがドンドン出ていくし、入っても来る訳です。


B.逆に、大電流が流れる配線に傷を付けると今度はここがアンテナになって、高レベルのノイズを発生するようになり、ECUの制御のエラーに成り得るトラブルを生む。
C.
ノイズを発生しやすい構造を持つパーツが壊れて、予定値以上のノイズを発生した場合。→通常、モーターがこれに当てはまります。元々ノイズを発生しやすい構造であるが、本来は抑え込む対策がなされている。その予想値以上のノイズが発生する場合は、到底無理!

2.バッテリー電源確保
 正常なクルマは、13.80Vを正確に提供されています。ところが、バッテリーに問題があったり、他の機器で電源を要求されると、電圧が下がります。そして12.5Vを下回ると、センサーの数値が大きく異なってしまうため、ベースを13.80から12.5Vに補正して制御し直します。
この電圧がどんな状態でも、正確に13.80Vにすれば、補正も効かない理想的な状態になります。電力を必要とするのは主に次の物が考えられます。
A.モーター類
 大小多くのモーターがあります。ブロアモーター、電動ファンモーター、キーレスエントリーのドア内アクチュエーター、電動ミラーモーター、ワイパーモーター・・
ブラシ部分の本体も重要ですが、その配線も重要です。大体配線の容量はギリギリに設定してあるクルマが殆どです。中には元々不足気味のクルマもありますが・・・
ここに100アンペアを必要とする配線があり、途中にエレクトリカルタップで傷付けて容量を80%に落としたとしたら・・容易に想像できると思いますが、当然異常な熱を発生し、配線は傷付けられた部分から両方向にドンドン焼け焦げていきます。最悪、車両火災と言うのも納得がいくと思います。

B.
ヘッドライト
 日本車の中で言うと、私はトヨタの高級車が電気系統の対策が一番良くできていると考えています。同じトヨタ車でも、いわゆる大衆車は、コストダウンが第一なため、信用できません。何故トヨタかと言うと・・100%子会社にDENSOがいるからです。デンソーは今ではエンジンコンピュータでは世界一の技術力を誇っているからで、当然、制御系統の邪魔をする現象に関する研究も進んでいると考えられるからです。
 しかし・・以外にも、ヘッドライトはマツダ車の方が充分な容量を備えています。2003年10月頃に考えられる全ての配線をチェックしましたが・・最も容量を備えていたのは、40万台以降のFD3Sでした。
トヨタの高級車(HID採用以前のクルマ→HIDでは大容量の配線が要らない。)の3ランク上を使用しています。
しかし、逆に注意が必要になります。ヘッドライトの要求電力を充分に取ってあるので、そこを傷付けると、大きなトラブルになります。
 例えば、セルシオが100アンペア要求、配線は120アンペアまで耐えられるとして、一方、FD3Sは150アンペア要求、配線は170アンペア対応としましょう。双方共に15%の傷を付けた場合、セルシオは102アンペアまで大丈夫だからセーフ。FD3Sは144.5アンペアでアウト!!って事にも成りかねない。
 この計算は、半ばこじつけですが・・実際に注意が必要な事が解れば良いことです。

 レーシングアートでは、現時点で、大まかな分類として5項目を基本に考えています。