修理に入る前に知っていて欲しい事。

 冷却水の修理においても同じ事に注意が必要ですが・・電気系統の修理では特に重要な事です。それは、作業の順番です。
 流れる物(=概ね“流体”に近い物)はその修理順番を間違えると反って大きなトラブルを生む事があります。

 ここでは、解りやすくするために河川工事を例に取って説明を試みる事にします。
1.原則として、下流側から作業を進める。
→上流から、流れの途中までを修理してしまうとその部分までは勢いよく流れるようになりますが、その先の修理が完了していない部分で河川の氾濫が起きます。
実際に、河川の改修工事でも土地買収などの問題などから上流側だけが改修工事が進む事もあります。この場合、まだ修復が終わっていない所では少しの雨でも氾濫する危険が大きくなります。旧与野市を流れている鴻沼川の河川改修工事がもう10年以上も続いているのですが、下流側は後回しになったせいで工事の終わった直後の下流で毎年少しの雨でも氾濫が続いている時期がありました。最近になってやっと、ある程度全体的に改修が進んで来た事で納まって来ましたが、この実例は、電気系統の修理ではとんでもないトラブルを生む事になります。
 
2.本流の幅を変えるような修理は行わない。
→具体的には、修復するべき線経と異なる配線を使用した場合などです。元の線より細くするのは駄目だろう事は誰でも理解出来るでしょうが、太すぎる場合も同様にトラブルを生む事になります。
太い線から、細い線になる所で熱や電磁波を生むと考えてください。よって、線経を全く同じ物にして修理す必要があります。
3.流れが悪いからと言って流れの圧を高めない。

→ブースト圧のページでも少し述べましたが、パワーが無かったりブーストが正常にまで上がらないのは配管のどこかにトラブルがあり、漏れているか詰まっているかになりますが、その修理をしないで、ブーストを上げてしまうとか、大容量のタービンを付けてしまう事で一気にトラブルの箇所が破裂?する事も考えられます。
 同様に、電気系統にトラブルがあるのに、バッテリーだけを大容量に変えてしまう事はトラブルを生む危険性があります。
※実例として、正規会員のセカンドカーのラルゴにレーシングアート指定のバッテリーを取り付けた事があります。初期診断でそのラルゴに大きなトラブルはなさそうだと判断した事と、それまで同等の状態のFD3Sではトラブルが発生しなかった事から安易に(?)交換してしまいました。
ところが・・ラルゴは電気配線の出来?としてFD3Sよりやや劣っています。それが原因と考えていますが、大電流が流れるようになって、少しトラブルを抱えていたラルゴが約1年半でおかしくなってしまいました。その後の原因究明で、主な原因箇所は、前オーナーがカーナビのサイドブレーキの信号を取り、その配線戻しがいい加減なため、配線に大きめな断線を引き起こしていた事、その配線がサイドブレーキペダル根元に挟まり、ショートしていた事、エアコン配線に微少なショート箇所があった事、サイドマーカーに配線を割り込ませた後の戻し作業が中途半端な作業だったため、時々振動でショートしていた事などが原因だったようです。
これらの細かいトラブル箇所が全て氾濫を起こして結果的にもろもろのトラブルに進行したと考えられます。この会員は次のセカンドカーもラルゴを選択しましたが、念のため、すぐにはバッテリー交換を行わず、暫く観察を続けてから結論を出す予定です。
 
今まで、FD3Sで上記のようなトラブルが発生しなかったのは偶然の域を出ない(=もちろん、電気配線の設計レベルがFD3Sの方が高いので余裕があるからとも考えています。今までの観察や経験からすると、トヨタの旧型セルシオクラスを20とすると、40万台以降のFD3Sが19、30万台以前のFDとFC、MGAが18、ランエボ7が15、R33が14、インプレッサやカローラクラス、ラルゴが12・・です。)と考えています。それ故、今後は初期点検時に大きめ電気系統トラブルがある場合、バッテリー交換は行わない事になります。