リザーブタンクのパイプジョイント部

 この部分が問題になるのは、冷却水漏れが殆ど問題のないクルマに限られます。

 この部分は、“漏れ”ではありません。
 エンジンが暖気され、完全に暖まると冷却水は膨張します。その膨張して体積が増えた分はリザーブタンクへと流れて溜められます。そして、エンジンを止めて冷却されるとエンジンの方に戻って行きます。
 この時に、その戻る途中経路に穴が開いていてそこからエアを吸ってしまい、エンジン内部にエアが入り込んでしまいます。

 そして、次に暖気し走行すると今度はエアが膨張するので、大量に漏れが発生し冷却水の不足が生じてしまいます。

 この部分にトラブルがある場合の典型的な症状は、毎回冷却水のチェックを行なっていると、3回は正常、4回目は穴が見えるか見えないか?の所まで減る。しかし、次の3回は正常・・・となる事があります。
 しかし、この部分だと判断するまでには、各部の見直しを充分に行なう必要があります。と言うのも、前述のように完璧に近い状態のクルマでなおかつ他に漏れている箇所が決して無い
と判断してから、この部分を疑う事になるからです。

リザーブタンク部:
このサンプルは、オーバーヒートの程度が非常に高く、かつかなり年期が入っていたせいでこんな色に変色し、形も変形してしまっていました。

矢印の部分が戻りパイプです。

因みに、の横の穴がリザーブタンクから一杯になった冷却水が漏れ出てくる穴です。左フロントの下にクーラントのシミが出来るのはここから漏れ出てくるからです。

なお、リザーブタンクの脱着は、左のインナーフェンダーを外さないと外れません。

リザーブタンクの戻りパイプ:
パイプ部分を抜いた物です。この首の部分にエアが入る可能性のある箇所があります。

リザーブタンクの戻りパイプのジョイント部分:
ジョイント部を分解するのはかなり至難の業です。皆さんはこんな事をする必要はありませんが、解りやすくするために分解してみました。

かなり、厳重にシールしようと試みられた様子が解りますが・・これでも漏れが発生します。

 対策方法は、まだ完全に確立している訳ではないので、画は省略しますが、この部分の漏れを防ぐ事になります。現時点では信頼性の確立しているシリコンテープを使用していますが、長期テストはこれからなので今のところ何とも言えません。(→長期間冷却水に曝され、かなりの振動もあり、擦れて傷付く事もあり得ます。おまけに微少なオイルや金属粉などが混じる事もゼロではありません。全ての悪条件をクリアするのはかなり難しそうです。

 新たな情報が得られたら、すぐに報告する事にします。