ラジエターキャップ口のキズ?? 

 これを読んだ皆さんの反応は・・・
 「
何だ??そりゃ??」で良いのですよ!
 「
そんな話聞いた事無いぞ!!」で、良いのです!

 今まで誰もそんな話を知らなかった事自体が、変な話ですが・・・

 実は、ラジエターキャップ(=ステンレス製)裏の耳の部分に鋭いバリが発生している物が非常に多く、そのバリを気が付かない内に、アルミの柔らかい口に当ててしまい、深いキズを作ってしまっているのです。

 私が『あれっ??』と思い始めたのは・・・
 水漏れ修理などを行なったユーザーに、
ある程度のエア抜きは、レーシングアートで行なってあります。
あと5回前後エア抜きを行えば、完全な状態になります。』と言って、渡したのに・・・
 何故か?報告では、日に日に悪い状態になって、抜けたはずの“
エア”が逆に増えている様子??

 『もしかしたら・・・』と思って、それらのユーザーに来て貰って、クルマを細かく観察したら・・・初めて解ったと言うのが真相です。
でも、こんな経緯になったのには理由があります。こんな細かい原因は、本当に水漏れを止めていって初めて解る事であって、いい加減な修理方法では、こんな僅かな(!)原因で・・漏れる事はありません。きちんとした原因追及が出来るお店でなければ、気が付かない訳です!

実際の修理方法です。
作業の前に・・まず、ラジエターキャップの裏を確認しましょう!白い粉が境界線を越えて外側に出ている部分をよ〜く確認します。アルミの腐食粉も確認しましょう!

1.まず、使い古しの1000番耐水ペーパーで、見えていないキズをはっきりさせます。
 通常、どんなに目を凝らしても、細かいキズは見えてきません!わざと使い古しの耐水ペーパーを使用する事で、耐水ペーパーに入り込んでいる
ホコリをキズに擦り込むのが目的です。
→この発見方法は、結構年季が必要です。初めて作業する人には、なかなか見えてこないかもしれません。でも、丁寧に時間を掛ければ大丈夫!「必ず!発見してみせるぞ!!」と言う気合い(?)が必要かも??

2.キズを確認したら、1000番相当(=図では、レーシングアートで採用しているダイヤヤスリです。表示は600番)の平ヤスリで、キズの部分を水平に落としていきます。
 この作業は、更に年季が必要です。(=“
ハサミ研ぎ職人”って知ってます?・・“水平に研ぐ”という難しさが解っている人しか・・はっきり言って無理です。)
この時、もっとも重要なのが、削って良い厚み(=限界厚み)にあります。盛り上がっている部分は、0.74mmです。削っても漏れない厚みは、0.62mmです。(=この数値は、経験値です。これだけの厚みがあれば、漏れないと保証した数値ではありませんよ!)
30万台までは、この盛り上がりは、丸ではなく、平面です。厚みは同じ0.74mm。水を止めると言う効果において、どちらもあまり変わりません!

3.角を1000番の耐水ペーパーで落としていきます。
 この作業の“
コツ”は、力を入れ過ぎない!事です。時間を掛けて、のんびり(?)行いましょう!折角、苦労して水平を出したのにその努力を無駄にしないようにしてください。
作業完了は、指先で確かめます。つるつるした感触を確かめましょう!

4.最後は、新品のラジエターキャップのバリ取りです。
 新品のラジエターキャップは、ほぼ100%バリがあります。(=特に、エンジン側の平たい薄い方。)エアセパレーター側には、少ないのですが・・・もちろん、こちらもバリ取り作業は必要です。

円形に残る白い痕が“境界線”です。
この境界線から、外側に出ている白い粉、アルミ腐食粉を注意深く、観察してください。

1.で述べているキズ発見方法はかなり大変なので、それ以外の情報を全て利用してキズ発見に役立てましょう!

画像の矢印部分に、キズがあります。今回の作業では、この部分が一番の悪影響を及ぼしていました。

実は、この矢印の5度右と30度付近に、腐食痕があります。30度付近の腐食痕には細かいキズがありましたが、1000番耐水ペーパーの処理だけで綺麗に取れたので、今回は問題無い!って事になります。→もちろん、少しずつ漏れていたから、腐食したのですが・・

上の画像を大きくしてみたのが、この画像です。
キズを目で発見する難しさが少し理解できますか?

見ているだけでは決して発見出来ないその小さなキズが、大きなオーバーヒートを引き起こす事もあるのです。

上の、対策を行なったキズの様子です。
まだ、キズは残っていますね!

でも、立体的な位置関係は、上の絵で示していますが・・・平らで頂点の部分はその外側にあり、このキズは7合目くらいにあると言えば、解りやすいでしょうか?

 いやはや・・・
 説明するのも、大変です!

 作業はもっと大変ですが・・・
 この作業は、レーシングアートで水漏れ作業を“
きちんと”行なって貰ったユーザーには、サービスで行なっています。
しかし、きちんとエア抜き方法、水量確認方法を“
伝授(?)”したにも関わらず・・・何度も深いキズを作ってしまう人はもちろん有償です。(→きちんと第一段階作業を行なって、現時点で、確認に来ていないユーザーは、ご連絡くださいね!

 そうそう・・・
 これも、もちろん・・・
ジャブです!