原因究明方法:3方向からのアプローチ

 突然、『ブロアモーターが原因でエンジンが破損するかもしれない!』と言われても、何がなんだか理解出来ないのが当たり前と考えています。

 そこで、その結論に至るまでの原因究明へのアプローチ方法を具体的に上げる事で少し理解して貰えればと考えて、このページを追加する事にします。

 
1.
完璧な新車であれば、コンプレッションは殆ど下がる事はない!
 
レーシングアートでは常々言い続けている事ですが、『何も問題を抱えていない新車であれば、例え、3万キロ以上スポーツ走行をしていたとしても、勝手にコンプレッションが下がる事はない!』筈です。
 実際に、
30万台の新車でマフラーはスポーツマフラーを装着し、主に筑波サーキットでスポーツ走行を繰り返し、走行距離が3万キロを超えたクルマのコンプレッションが6室全てで10.0キロを超え、数値のバラツキも殆どないと言うデータがあります。
 しかし、50万台になると、新車時に全てのポイントをきちんとした方法で押さえたクルマでも、スポーツ走行6万キロ近くで、8.0キロを切るようになってしまいました。
 ここで、重要なのは・・
 今まで同じ条件では、決して壊れない物が突然壊れるようになった場合には、その時間的な“
”に何かが変化したと考えます。
 「仕方がない。」とか、「よく解らないから良いや。」とかは、レーシングアートでは許されません。どんなに困難な原因究明になったとしても、いつか必ず、はっきりさせる必要があります。
 更に、60万台の新車になり、発売時期が後になればなる程、新車時、1,000走行後、3,000キロ走行後のコンプレッションの数値を比較すると、3,000キロ走行時のコンプレッションが明らかに下がっています。

一度、結論を出した事は最後まで変えるな!

2.60万台の新車で突然、電磁波が異常な数値を示した。
 新車1,000km走行時に初期点検を行なった60万台のFD3Sが、次の1,000kmで電磁波の数値が著しく上昇した事を発見した。
 初めの測定ではゼロを示してクルマが、次の点検時、はっきりと異常な数値を示しました。その間、何も余計な作業は行なっていないとのオーナーの言葉から、ある部分が壊れた或いは変化した?結果と考えて詳しい点検をしていきました。

変だと感じたら、全てを見直せ!

3.大問題を抱えているスピリットRを調べていて、他の新車に共通するかも?と思われるトラブルを発見した。
 
最終型のそれもスピリットRなのに・・かなりの状態のクルマが入庫しています。一番のトラブルは、運転席左足奥にあるヒューズボックスの辺りです。ここは5〜7系統のハーネスが繋がっている所です。それも殆どが重要なハーネスであり、ほんの少しの傷も許されません。
 ここを裏から、破壊されているようです。多分・・ドアをもぎ取るぐらいの力でドアが目一杯開けられてドアの先端がフェンダーを押しつぶして、ヒューズボックス裏まで刺さったと考えられます。しかし、その板金修理自体は完璧に修理されています。その事からレーシングアートでは生産ライン上の事故ではないか?と疑っています。
 しかし、残念ながら、板金は完璧に修理したのに、ハーネスまでは修理の手が入らなかったようです。ヒューズボックス裏には数カ所かなり傷が残っていました。
 このクルマを調べている時、徹底的に電磁波の測定を行ないました。通常、1回のみの測定ですが、少し点検修理してはチェックする事を繰り返しました。
 そうする内に、刻々と変化している部分を見つけました。通常、何も作業していなければ変化する事は無いはずの電磁波です。変化自体がおかしいのです。

関係ないと思われるトラブルでも、関連性を探す必要も出てくる。

 特に、1と2は矛盾する考えかもしれません。
 ある意味頑固さが必要な時もあります。またある時、柔軟な考えも必要になります。そして、そのどちらかが勝っていても良い仕事はできません。
 仕事を進める上でも、ある意味バランスが重要です。全てを見て、おかしい部分を発見して・・そこを深〜く探求する。口で言うのは簡単ですが、なかなかできません。どちらかに偏ってしまう事が常です。しかし、常に自分の仕事を反省し、見直して、先に進みます。足下を常に確認しながら、先を進みます。ある意味、かなりの精進が必要なのは、こんなところでも言える事です。