自分で守る本当の意味:ボディ編

 レーシングアートのHP上には、『自分のクルマは自分で守りなさい!』と何度も出てくるのですが・・実際にその言葉が何を意味しているのかを理解している人は少ないと考えています。

 半年くらい前の事です。
 かなり待ちぼうけをくらった(??)初期点検作業を、こちらからいきなり『
今日、急に予定が開いてしまって・・都合が良ければ、午後からどうぞ?』と、かなりわがままなメールを入れて、喜んでやって来たユーザーの場合です。
 初期点検の前に、軽く
魔法を味わって貰うために、『近所を走行してきてくださいね。』と、出ていって・・・数十分待っても帰ってきません。

 やっと、帰ってきたと思ったら・・「やっちゃいました!」「縁石にぶつけてしまいました!」と、しょんぼり・・

リアフェンダーの凹み箇所は、下図のようでした。(実際のオーナーの写真ではなく、参考資料です。)

リアフェンダー、タイヤハウス前側でした。青くペイントした部分が軽く凹んでいただけです。

 この画は、参考資料です。
 実際には、お話しの中のオーナーのクルマではありません。

リアフェンダー交換の時の切断箇所:

 通常、リアフェンダー交換と言うのは、線を記した2箇所で切断して、新品のフェンダーを溶接します。
 想像すれば、すぐに解ると思いますが、かなり面倒な作業です。当然、作業者の“腕の差”がはっきり出る部分です。

 確認すると、本人が思っている程の重傷ではありません。ただし、この人のFDは買ったばかりの新車です!(=そりゃ、しょんぼりします。)

 その後、作業は順調に進み、一通りクルマに関するお話しは終わって、鈑金作業についてアドバイスする事になりました。

まず初めの注意点は、2点
1.リアフェンダー交換を薦められるが、必ず鈑金修理で直しなさい!
2.工賃を確認しなさい。
 多分・・こう言ってくるはずです。
これだと、フェンダー交換にした方が良いですよ!」「パーツ毎新品になるし・・」「綺麗に直りますよ!」と。で、工賃を聞くと・・多分
 鈑金修理だと、
相場よりやや高めに言ってくる。
 フェンダー交換だと、
相場よりやや低めの見積もりになるが、実際作業を行なうと、前者は安くなり、後者は高くなります。

 実際にこのオーナーの場合は、鈑金修理では、88,000円の見積もりで、実際に作業を頼むと7万円台前半になりました。
 一方、フェンダー交換は、
13万円くらいと言っていたそうですが、色無しフェンダーのみでも50,300円。その他諸々・・更に工賃はと言うと、フェンダー切って、溶接して、パテで埋めて・・・と4万円強アップで済む筈もなく・・最低でも15万円は行くはずです!

 それが、“”なのです。
 ディーラーでは殆ど鈑金作業を行なうことはありません。下請け工場に安く買い叩いて、“横流し”です。その下請けが出した金額の例えば
30%(=通常の修理工場より多めに取るのが普通です。)マージンを受け取ります。
 よって、合計金額が上がれば上がる程、ディーラーの儲けは大きくなります。
 しかし、このこと自体は“
商売”を行なっている訳で何の問題もありません。

 問題なのは、もしフェンダー交換作業を行なうと、そのクルマは間違いなく“事故車扱い!!”になり、下取り価格は暴落(?)します。
 このオーナーの場合、相談したのは新車を購入したまさにそのディーラーです。

 そこで、第二の注意点
1.フェンダー交換をする場合、必ず“事故車扱いにしない!”と確約させる事。(=しかし、当然の事ですが、無理な話です!!)
2.もし、万一“事故車扱いしないし、ウチで事故無し車輌として下取りますよ!”なんて事を言ったら・・必ず、少なくとも所長名義の契約書を書かせる事。(=営業担当者はすぐにローテーションで、別の営業所に移動したり、辞めてしまう事も多く、決して責任は取りません。)
です。
 しかし、土台無理な話ですから・・・
普通のまとまな人達は、鈑金交換でいきましょう!

 このオーナーの場合も、「事故車扱いになるって、聞いたけど・・」と話した途端に、鈑金修理になったそうです。

 もちろん、事故の状態によっては、フェンダー交換しか方法がない事もあります。
 しかし、重要なのは
修理に伴うメリット、デメリットを客観的に正確に知る事です。
 そのメリット、デメリットを充分理解した上で判断すれば、やってしまってから、「
そんな筈じゃなかった!!」なんて落ち込む事もありません。

 あなたのクルマの事なんて(?)、ディーラーの良く出来た営業担当者ですら、考えもしないのですよ!
 まずは、会社の儲けや成績を第一に考えて行動するはずです。「
親切な人だから、この人なら安心!」なんて・・・『甘い!!』の一言です。

 私が、『自分のクルマは、自分で守りなさい!』と言っている理由が少しだけ理解出来ましたか?

 そうそう、付け加えるなら・・・
 レーシングアートも
営利企業であって、『幾ら親切な事を言うからと・・・信じ切ってはいけない!』と、言っておきましょう!
 
ふふふっ・・誰を信じれば良いの?」と聞こえてきそうですが、答えは簡単!『自分だけを信じなさい!』です。

 別に禅問答(?)ではありません!精神論でもありません!“プロ”を簡単に信用してはいけません。・・・ふふふっ・・・

 実は、このページ・・“図書館”で今後明かす(?)、初期点検のボディ編に繋がっていたりします・・・お楽しみはこれからです???