アイドル調整(FC3S)

 FC3Sは、FD3Sに比較して、作業は、結構、難易度が高いので、気合いを入れて頑張りましょう。

 FC3Sは、スロットル・ポジション・センサーが破損し易いので、点検が必要です。3ヶ月〜半年もてば、良い方だと考えてください。)
 しかし、通常、一般のユーザーが行なっている「チェックランプでのチェック」は全く意味がありません。
 何故なら、チェックランプは、調整に必要な特殊工具です。点検するための測定機器ではありません。

 よって、レーシングアートに『チェックランプが、着かないので故障ですか?』という質問はしないでください。
 何度聞いても、この質問には、がっかりさせられます。
 『何をやっているの?』『何をやりたいの?』と、強い疑問を持たざるを得ません!!

 だいたい、私にこの質問をすると、いきなり、激高モードに変身することがあるので要注意です。

 点検は、電気テスターで抵抗値の変化を調べます。
 このことを、まず、頭に叩き込んでから、行なってください。

 それでは、頑張りましょう!!

実際のアイドル調整方法
1.
まず、ノーマルのインタークーラーを外します。
 ※非常に
重要です。外さないで行なうつもりなら、初めから、諦めましょう!
 ※理由は、2つです。
1つは、「スロットル・ポジション・センサー調整スクリュー」の位置や「アイドル調整スクリュー」の位置を確実に把握する必要があること。2つめは、2.の慴動部に潤滑剤を、たっぷり掛けるためです。

2.スロットボディの慴動部(=アクセルワイヤーを引っ張って、動く部分全て)にCRC556などの潤滑剤をたっぷり塗布します。
 ※スプレー缶半分位を使用するつもりで、バシャバシャ掛けます。
 ※CRC556は、ゴムに悪影響を及ぼすことが少ないので、気にせずガンガン掛けて、「アクセルペタペタ」を繰り返しましょう。

3.アクセルペダルを、繰り返しペタペタと踏みます。
 ※初めて、やる時は、300〜1000回必要な時もあります。足がつりそうになるので、50回位を一本と考えて、数回に分けて行なってください。軽くなってきますから、それまで行なってください。
 ※一つの目安として、11,00rpm前後で引っ掛かりが出なくなるまで(重要!)行なってください。
 ※1.3.は、少なくとも1回/週くらいは、実行しましょう。スロットルの動きを良くすることで、クルマ自体のレスポンスを上げる事ができます。(重要!)

4.インタークーラーを元に戻して、エンジンを充分に暖気し、アイドル回転が安定するまで行ないます。

5.フューエルキャップを外します。
 ※理由は、正確なアイドル回転にさせるためです。特に夏場にガソリンタンク内の圧が高い時に、通常より多くのガソリンが噴射されることによる誤差を無くすためです。


6.テスト端子ボディにアースさせます。テスト端子をボディに短絡させる目的は、コンピュータで管理されているアイドル回転を、コンピュータの制御をカットし、機械でのみの制御に戻すことです。
これをやらなければ、アイドル調整する意味はありません。
 ※もし、短絡させずに調整してしまうとアイドル回転は、制御が効きません。

7.右図のT.A.S.(スロットル・アジャスト・スクリュー)を回して、エンジン回転を調整します。
大体は、エンジン回転は下がっています。
スクリューを右に回すとエンジン回転は上昇します。
750rpmに合わせます。
 ※T.A.S.は、位置が解り難いので、1.の作業を確実に行なってください。
 ※この時、適当なスクリューを回してしまって、『泣きをみる』ユーザーを多く見掛けますが、そうならないようにしましょう!自信がなければ、触らないでください。ひどくしてから、持ち込まれても、作業も大変で修理代はかなり高価になります。(本当に注意!!) 

8.エンジンを一旦、停止させます。

9.イグニッションキーをイグニッションオンの位置にします。
 ※
「イグニッションオン」とは、セルが回るひとつ手前です。ワーニングランプが点灯する位置です。

10.ここで初めて、『チェックランプ』をスロットル・センサ・セット・コネクタにセットします。チェックランプのグリーンが一個だけ点灯すればスロットルポジションセンサーの「ゼロ位置」は、合っていることになりますが、T.A.S.をいじることでずれているはずですから、ここで『ゼロ調整』を行ないます。

11.スロットル・ポジション・センサーのアジャストスクリューの位置を充分確認した上で、調整を行ないます。
 ※この時、
確認し難いからと適当なスクリューを回すと後が大変です。注意してください。
 ※また、アジャスト・スクリューを
緩め過ぎるとバネと一緒に、ロックとネジが吹っ飛んで探すのが大変です。残りのネジ数を確認しながら、調整しましょう。

12.チェックランプとテスト端子のボディアースを外し、エンジンを始動させます。

13.アイドル回転が750rpmで安定し、スモールオンで、約50rpmアップ、エアコンオンで約100rpmアップするのを確認します。

14.確認が終了したら、フューエルキャップを締めて作業は終了です。
 ※結構、忘れることが多いので、注意しましょう。

注意(重要!)
アイドル調整を行なう前に、まずプラグを新品にしてください。
燃焼室内がカブっている時には、アイドル調整はしないでください。
軽いカブりなら、エンジン回転を3,500〜4,000rpmにして、3〜5分エンジン回転を維持すれば、カブりが取れます。(この時、ブオーン、ブオーンとレーシングは絶対にしないでください。確実にカブってしまいます。)
もう少しカブりがひどい時には、30分位エンジン回転を高めにして、周辺を走行してください。
機械に自信がない人でも、1.〜3.までは、行なってください。これだけでも、アクセルレスポンスが良好になり、レーシングアートが薦める『気持ち良く・・』が理解できるはずです。

●スロットル・ポジション・センサーの交換修理は、技術が必要です!
テスターを使用して行ないます。スロットルを静かに少しずつ動かして、抵抗値がスムーズに変化するのを確認します。
交換作業は、新品のセンサーの取付け穴(3個)を楕円に加工してから、交換します。
交換時に、初期値の調整を行ないます。フルレンジ側(0.6〜0.9kΩ)、ナローレンジ側(0.8〜1.2kΩ)に合わせます。

●人に聞く前に、確認しましょう。
本文中にも書きましたが、チェックランプが点灯するかどうかはあまり重要ではありません。あくまでも、T.A.S.を調整することがアイドル調整であって、チェックランプは、ゼロ調整の道具です。
チェックランプの様子で、スロットル・ポジション・センサーの故障を判断することは、不可能です。必ず、テスターでチェックしましょう。
きちんとアイドル調整を行なえば行なうほど、1,100rpmで、『引っ掛かりが出る症状』が発生します。この原因は、スロットルの動きが硬くなっているせいです。1.〜3.を繰り返し作業してください。
 逆に言うと、1,100rpmの引っ掛かりが出なくなるまで、しつこく作業してください。
大変だけど、頑張って!!

 FC3Sのアイドル調整作業は、上記のように非常に大変です。
 しかし、非常に重要な作業であることは、言うまでもありません。
 本当に、自分のFC3Sを大切にしたいのであれば、頑張るしかありません。もし、自分で出来なければ、最低でも、
1〜2回/月アイドル調整費用を負担することになります。
 とにかく、
気合いを入れて頑張りましょう!!