FD3Sのクラッチディスクは、滑ってる?!

 全てのFD3Sが、そうとは言い切れませんが、多分、滑っています。(いつもの独断と偏見です。)

 20万台、30万台のFD3Sで、どちらのオーナーもごく普通の人で、しゃかりきになって、クラッチを酷使するタイプでは、ありませんでした。

 取外したノーマルディスクは、写真のように、表面がツルツルで、鏡面仕上げのような状態でした。(眩しい!!)

 これは、異常な状態です。ブレーキパッドを自分で交換した人なら、少し解るかもしれません。
 ちょうど劣化したパッドを無理矢理使用し続けて、効きが全くない状態のブレーキパッドがこんな感じです。

 わざわざ、ここに書き始めたのは、純真で、善良な(?)オーナーに2点のことに注意してほしかったからです。

1.クラッチが常に滑っていると言うことは、常に元から持っているパフォーマンスを捨てていることと同じだという事実。
2.だからと言って、ツインやトリプルにする必要などないこと。(500馬力前後まで、ノーマルクラッチカバーとメタルクラッチディスクで充分であり、使い勝手も良好!)

 通常、レーシングアートでは、タービン交換などの過激なチューニングは、こちらから積極的に薦めることはありません。
 何故なら、ノーマルタービン・ノーマルエンジンのままで、体感450馬力まで簡単に出すことが出来るからです。

 ちょっとダンディな(ちょっとほめ過ぎ?)歯医者さんであるKTさんのFD3Sは、なかなかこちらが想定しているパフォーマンスを引き出すことが出来ませんでした。(原因は、排気、吸気漏れでしたが・・)

 ある作業後の走行テストで、ごく小さな異音がします。どうやらクラッチのようだと、いくつかのチェックを実施したあとに結論付けました。
 クラッチの作業予定を立てて、暫くして、他のトラブルが発生した為、クラッチの作業は延期になりました。それから、KTさんは約一年そのまま走行してしまいました。
 私は、自分の判断にかなり自信があったので、いつ「急に発進できなくなりました!!」と電話が入ることかとはらはらしていましたが、KTさんは、そんな私の親心(?)を知らないでか、1年もしてそろそろ交換して下さいとクルマを持ってきました。

 私の予想では、とっくにディスクはなくなり、ディスクのリベット部がクラッチカバーやフライホイルを傷付けて、全て新品に交換することになると少しだけ期待(?)して、開けてみると、ディスクは、殆ど新品のままの厚みが残っていました。(5万キロ近く走行していたにもかかわらず・・)

 唖然として、注意深く観察してみると、写真のようなテカテカ、ツルツルが解ったのです。

 ず〜と滑っていたのです。激しいクラッチミートをしていないのが幸いして、カバー、フライホイル共に、ギリギリセーフ!(もう少しで、全て新品交換コースだったのに残念!いやセーフ!セーフ! 危ない危ない・・

 作業終了後、走行チェックしてみると、クルマの挙動に比較的無頓着なKTさんもすぐに解ったようです。
 「クッと出るようになりました。」「かなり滑っていたようですね!」と、感じ取ってくれました。

 あなたも無駄にパワー、パフォーマンスを捨てないように気を付けて下さい。