ディーラーでお願いしてください！
かなり、ひねくれた（？）お客さんがやってきました。
初めての作業は、二晩預かりの『アライメント調整』ですが・・・作業後の走行チェックで、みるみるロア側ウォーターホースがずれていきます。
本来なら、すぐに対処修理を施すところですが・・・
そのお客さんの性格上、この危機的状況を認識させる必要があると判断して、そのままの状態で渡す事にしました。
もちろん・・・『ウォーターホースが外れるかもしれない！！とドキドキしながら、充分注意して走行してください！』と、ちょっと“脅し（？）”も入れておきました。
実は、このお客さん、ディーラーで一回目の車検時にクーラントを全交換して、その後、冷却水のメンテナンスを怠っていました。
1.クーラント全交換なんて、ナンセンス！
2.その後、メンテしないなんて、お話しにならない！
と言う“気にくわない（？）”個人的な理由がそうさせたのですが・・・（→一応、そのユーザーには、「ディーラーに相談してみたら？」と言う表面上は優しい？って思わせる手法を取ったのですが・・・）
その数日後、とても信じられない事に「レーシングアートで交換する全てのノーマルパーツをクレームで出してくれる！」と言う約束をディーラーに取り付けたと連絡がありました。
ならば（＝そんなに親切なディーラーなら）・・・
パーツと同時にポイントで注意点を教えたら・・・作業するだろう！と考えました。
それも、きちんとしたメカニックのプライドをわざと傷付け（？）、「この野郎！やってやろうじゃねぇか！！！」としむける文章にしました。（＝仲の良い友人に「悪魔！！」って誉められる？事もよくあります？？）
言っておきますが・・通常はこんな意地の悪い方法は取りません！今回は特別です。以下のパーツリストと文章が送った全資料です。
ウォーター・ホース N3A1-15-186B
ウォーター・ホース N3A1-15-185B
ラジエターキャップ N3A1-15-205A
ラジエターキャップ KF01-15-205
サーモスタット・セット 8AF6-15-171
ウォーターレベル・センサー N3A1-15-610A
ガスケット（レベルセンサー用） N3F1-15-611
サーモスタット・カバー N3A1-15-170A
※サーモスタット・セットやレベルセンサーは、オーバーヒートを少しでも起こしてしまったクルマは、必ず交換します。熱による悪影響は見た目などでは判断出来ません。
※レベルセンサー用のガスケットは2種類ありますが、信頼性でシリコン製を使用します。
※ホースバンドは、純正品は使用せず、トライドン製を使用します。（→マーリー製なども使用不可です。）ただし、取付けには注意が必要です。取付け部のホースには軽くCRCを塗布し、締め付けトルクは、ホースバンドがホースにめり込んでツラいちになる位置でなおかつ、ホースを傷付けない位置です。
※作業中、一番重要なのは、エンジン側のアルミ部分の水あかやさび落としです。400→600→1000番の幅20ミリのベルト状にしたペーパーで、時間を充分掛けて、丁寧に作業します。この作業を少しでも怠けると、まず交換しない方が良かったのにと言う結論になります。
※サーモスタット・カバーの当たり面は、必ずオイルストーンで面研します（＝全面がピカピカになるまで）。サーモスタットのゴムガスケットが厚みが少ない為、面が出ていないとすぐに吹き抜けて、大きなトラブルへと繋がります。
※物凄〜く（！）辛辣です。これをまともなメカニックが読むと・・「なんだ！こいつは！！」「たかが、チューニングショップのメカニックごときが！」「ディーラーのきちんと教育を受けたメカニックに！こんなくだらない、当たり前の事を！」「偉そうに！」「許せん！！」「やってやろうじゃないか！！」となるはずです！！
怒らせて、作業を必要以上にきちんとやらせるのが目的です。
でも、もし本当に怒って電話来たら・・・素直に『ごめんね！』って明るく謝るつもりでした・・・
400→600→1000番とか、オイルストーンで・・・とか、本当に重要だけど、でも当たり前の事でした。
作業結果の判断：
1.オーバーヒートのトラブルが少しでも解決して来ると、必ず、低回転のトルクアップが体感出来ます。→例え、水漏れが作業前より多くなったとしても改善されていきます。もちろん、ひどくなった水漏れは作業以外の部分であり、修理も必要ですが・・
2.アイドル時の排気ガスの臭いが、少なくなります。→オーバーヒートを起こしていると排気ガスがガソリン臭くなったり、目にしみるようになります。
3.アイドリングの安定性が増します。→不規則な振動が消えます。
4.エアコンの効きがアップします。→以前、水を補充した時よりさらに効くようになります。（→FCコマンダーの水温は、エアコンオンで85度以下の筈です。＝これは後ではっきりして来た事ですが、86度は異常です。）
きちんとした作業が実行されれば、以上の効果が全て出ます。しかし、一個も結果が出ない場合は、作業が不充分だったと考えてください。
なお、電気系統のトラブルを抱えたクルマは、4つの効果がはっきりしない場合があります。＝効いているようないないような・・・と言う結果。
※更に・・・作業結果の判断方法まで入れました。
『こりゃ〜・・・本気で怒るだろうな〜』『でも・・・その時はその時さ！』って考えていて・・・そのこころは・・・面倒くさいから、ディーラーでやって貰え！って事です！
・・・でもね・・・
本当に意外な結果が待っていました。
「ディーラーは、完全に白旗でした！」
「うちでは、そこまで出来ないから・・・」
「そのお店でやって貰って！」と、物凄〜く複雑な顔をして、断られた・・・と言う連絡があったのです。
それで・・・それでも『そのディーラーはとても良いディーラーだから、もう一度丁寧にお願いして、そこで作業して貰って！』って言ったのですが・・・
「ディーラーで出来ないって言ってるんですよ！」「お願いしますよ！」「頼んでいるんですよ！」と懇願されました。
それでも、あまり気が進まないので・・・『じゃ〜あ〜ね〜！送った資料を持って、信頼のあるショップに行ってみたら・・・』って話したら・・・
「だから！！！・・レーシングアートでやって欲しいんですよ！」と言われるので・・・
『そうですか〜？』
『じゃあ・・・仕方ないですね〜』
『やりますか？』と渋々承諾すると・・・
「全く！なんてショップだ！」
「お客が、やってくれって！言ってるのに・・・」と電話の向こうで憤慨してます。
それで、こちらとしては、とっても素直な気持ちで・・・
『だって！面倒くさい作業なんだもん！』って可愛く（？）明るく応えました。
作業開始まで散々待たせて（＝これは、わざとではなく、予定が全く入らないので仕方がなかったのです。）・・・やっと本日、クルマを渡しました。ついでに・・ギアオイルも交換しておいたので・・・インプレッションが楽しみですが・・・
またしても・・・ひねくれた（？）コメントになるのでしょうか？
きつねとたぬきの騙し合い？否！・・・単純にひねくれたお客にはそれなりに（？）対応するって事ですか？？
そんな一面も持った怪しげなレーシングアートでした。